はっぴぃにゅういやぁ
年賀状を書く
こんにちは、エミィです。
私はいま、準備をしています。
お正月の準備?
いいえ、違います! 年賀状です!
この国では、郵送にて年明けの挨拶をするのが礼儀なのですね。スーパーのレジにて年賀ハガキなるものが売られており、レジのおばさまに訪ねてようやく得た知識。これはきっと、常識すぎていまさら教えたりしないのでしょう。
年賀状を送って、今年もお世話になりたい皆さまを、驚かせたいですわっ!
あけおめ、ことよろ、と書けば良いのでしょう?
これなら私にも出来そうです。
アキさんのメールのタイトルが「あけおめ」だった理由も、これでわかりました。あれは、新年の挨拶だったのですね!
カンカンはまだ散歩から戻っていないから、私はせっせとパソコンで年賀状のことを調べながら、墨を磨っているのでした。書き初め? でいいのでしょうか。――書き初めは、年賀状で。というキャッチコピーで文具屋に道具一式が売られておりましたから、購入してみたのです。
「しかしこちらの文字は、まだ慣れませんわ……」
あ、け、お、め
この4文字を書いただけで、もうハガキ1枚が終わりです。
表側にはお送りする相手方の名前を書くのだそうで、そのままにしなければなりません。
私はすこし考えて、2枚目の年賀ハガキを取り出しました。
こ、と、よ、ろ
「これでよし」
そして宛名側にそれぞれ、アキさんのお名前を書きました。2枚をセットで送ろうと思ったのですわ。これって、名案ではありませんか。ちょうど、ハガキは10枚1セットを購入してありますし、余らせなくて済みます。
私はそれをあと4セット分書き、
――えーすけどの
――いっくんどの
――みさかさま
――やまだどの
と、表側にしたためました。
「あ、あら?」
重ねておいたものを改めて見ようと手に取ったら、なんということでしょう、くっついてしまっているではありませんか!
あまり無理に剥がすと、文字の部分がハゲてしまうかも……。
それぞれ同じ人に送るものがくっついているので、私は見て見ぬふりをして、そのまま出してしまうことにしました。私がハゲさせてしまっては、届いたときに失礼ですもの。それにくっついているほうが、届ける側にも親切ですわ。バラバラにならないのですから。
――ポストン!
赤い箱に投函したとき、私はふふふと湧き上がる笑みを堪えることが出来ませんでした。
きっと皆さん、驚くでしょう。
明日には届くのかしら? それとも明後日?
明日、アキさんと会うとき、うっかり話さないように気をつけなくてはなりませんね!
作品名:はっぴぃにゅういやぁ 作家名:damo