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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア夏

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 日曜日、図書館の前で待ち合わせ。

 そう言った石間は、2時間経っても来る気配が無かった。気配もなにも、来るかこないか、白か黒かしかないわけだけど。

 取り敢えず返す予定だった写真集を返却口に持っていって、あとはひたすら待つばかり。
 中で待っていたいけど、連絡手段を持たないせいでそれなりに気は使うわけで。
 それにしても暑い。クーラーで鳥肌を立たせる予定でいた俺は、荷物になるのも仕方が無いと上着まで持って来ていた。この暑さの中では鞄に入れられた薄っぺらいシャツ一枚の重さでも生死を大きく左右させると思うんだ。

「木野!」
「あ……石間…」

 汗だくの石間が息を切らして日陰に滑り込む。

「どうしたんだよ、俺もう帰ろうかと思ってた」
「悪い、忘れてて」

 忘れてて!?
 遅れてでも来るだけましってやつかな。それが友達作りの秘訣なのかな。

「木野も、忘れてたろ」

 へへっと笑い掛けられた。 なんだよ忘れるって。俺も?

「俺の言う"市立図書館"と木野の言う"市立図書館"って、実は違うんじゃん」

「はあ……? あ……ああっ!!」

 I市民の俺と、そうか、石間は隣りのS市民。
 そうだった、すっかり忘れてたよ。てことはつまり……?

「あっは、まじか! それで石間、向こうの市立からわざわざ来たわけ」
「そりゃ……木野ケータイ持ってねえじゃん、鳩でも飼っとけよって感じで」
「それは悪かったよ」

 ひとしきり笑って愚痴を垂れあって。
 図書館はもういいだろ。
 近くの人気アイスクリーム店を紹介するから、それで許せよ。

「奢りじゃねえってか」
「結構たけえんだよ」

 それにしても、わざわざねえ。
 ほんとにくるとは思わなかった。
 …へんなやつ。

作品名:ブローディア夏 作家名:しらとりごう