ブローディア夏
図書室当番の日、同じく当番の先輩がテディベアのついたメモ帳3種類を各一枚ずつくれた。
今日を最後に、三年生の委員は図書室当番を放免。かわりに地獄の受験生活に入るというわけだ。そういえば最近図書室の利用者が増えた気がする。
図書室の利用者が増えたといっても受験勉強のためであって、本を借りるためでは無い。
相変わらずあまりにも暇そうにしている俺に「これに落書きでもしてなよ」と言った先輩は、すでに受験生の群れの中で勉強を始めてしまっていた。
丁寧に二つ折りにしてペンケースにしまう。
でもすぐに気になって、黄色っぽいリボンで縁取られたメモ帳を一枚取り出した。
『石間、へ』
でも書くべき事が思い付かない。
『今日は友達となにして遊んでるんですか』?
小学生みたいだな。
『今日も俺のパンツからはアノ香りがします』?
変態みたいだな。
明日は石間と何を話そう。
きっとすぐに話題を変えられて話題がなくなって、で、見つめるばかりになる。
好きだからだ。
石間、きみが好きだ。