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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア夏

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(ばか)



「進二郎クン、今日ヒマ?」

 土曜講習で最近よく近くに座る黒いやつが、掃除中に話しかけてきた。
 ヒマといえばヒマだけど、図書室に一回顔出さなきゃなあ。

「なんかあるのか?」

 イエスともノーとも答えずに聞き返した。黒いやつはチョイチョイと手招きして、ニヤリと笑った。こいつもさぞかしモテるんだろうな。

「合コンですよ、センセ」
「俺は場違いだろ」

 なあんだ、と俺は掃除を再開した。
 合コンがどういうものかよくわからないけど、茶髪腰パンの中に俺一人ほうり込まれるなんてそんな惨めな事はゴメンだ。なにより俺には……

「そいつは駄目だ。勉強の邪魔しちゃ悪いだろ」

 え?

「なに石間、一人足りねえの分かってんだろ」

 はあ……。だよね。ただの埋め合わせだよな。
 何となくこの合コンに石間も参加するだろうとは予想ができていた。今黒いやつに誘われて嫌だとは思っていても、身分違いの俺がちょっとは石間に近付いたかななんてそんな勘違いをするところだった。

「席埋まれば誰でもいいのかよ」
「……!」

 流石の黒いやつも一瞬固まった。

「おい石間……イジワルすんな。進ちゃん結構カワイイ顔してんのよ?」

 怖い石間だ。
 というかかなり俺、惨めなんだけど。

「意味ねえじゃん。ケータイ持ってねえし、なあ、進二郎クン」
「そうなん? し、…渋いな!」

 なんだよ、怖い石間……。
 なんでそこまで暴露されなきゃなんないんだよ。

「石間、そんなにムキになんなくても、俺暇じゃないよ」

 ヒマだよ。ヒマ人だよ。
 黒いやつがこそっと謝って来て、すたすた歩いて行く石間を追って消えた。
 なんなんだよ。言われなくても身の程はわきまえるよ。初めて下の名前を呼ばれたのに、全然嬉しくなかった。
 俺には石間がいるから……合コンなんて馬鹿らしいけど。でも石間には俺はいらないか。ケータイ持ってなきゃ、いる意味さえないか。

作品名:ブローディア夏 作家名:しらとりごう