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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア夏

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「静かだな」
「まあ、騒がしいのも困るんじゃね」

 思いを先に告白したのは俺でなく石間だったから、石間の住んでるS市の警察署にやってきた。
 なんとなく学校に似ていた。違うのは土足で入れる事か。

「木野って図太いのかもな」
「石間こそ慣れたふうだけど」

 石間が、廊下のベンチに座ってコーラのペットボトルを開けた。
 口の端だけで笑うのって格好いい奴に与えられた特権な気がして、つい魅入ってしまう。
 クリクリと髪を捻りながら、石間は皮肉っぽく言った。

「俺は常連さんだったから」
「じょうれん」

 一口飲んだコーラを俺に突き出す。
 そうか。盃を分けあって、遂に俺もトガビトになるってわけだ。

「住む世界が違うな」
「市が違うだけだろ」

「石間、もう警察に来るような事するな」
「あんだよ説教か」
「俺、石間と別れさせられるのは嫌だ」

 前科ってばれるらしいじゃん。
 ぽかんと開かれた口が閉じ、また端だけが持ち上がる。

 俺たちは、共犯者だから。

「その時は一緒に逃げような」

作品名:ブローディア夏 作家名:しらとりごう