ブローディア夏
結局、夏休み中は三日間連続で会っただけで、それだけだった。
仲良くなれたと自覚できないままに。
気のきいた面白いことを喋った気もしない。
でも俺は石間が好きだ。
遠いばあちゃんちに、一人逃げたなんて言われるのは心外だが、確かにあの日、可愛い女の子集団に君を返せと詰め寄られたのは本当だ。
俺はゆすりたかりを相手にするつもりはないし、石間を手に入れたと自信を持てたためしがなかったから正直困ったんだけど、俺は怖くなった。
煙草を咥えるようにかっこよくじゃがりこを囓ったり、アメリカ人みたいにかっこよくコーラを飲んだり、腰パンしたり、髪をクリクリしたり、緊張の割に慣れたキスをする石間は俺の前でケータイを弄らないから。
俺は石間を手に入れてはいないものの、石間を閉じ込めてはいるような気がするんだよ。
華やかな世界に戻ってくれ。
俺は君を遠くで見ているだけでも、結構つまってるんだから。
俺は、石間と友達になれないと思っている。
ばあちゃんちは、暇だ。