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しらとりごう
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novelistID. 21379
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ブローディア夏

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 学祭の打ち上げは駅前のハンバーガーショップに決まった、とクラスのミニスカート軍団に言われた。
 日曜日はそれぞれ仲のいいグループで集まりたいとのことで、クラス集合は今日の放課後。

「三好、行く?」
「行った方がいいんだろうなー」

 一番仲の良い三好も俺も、面倒くさがり。
 遊び人が3分の2を占めるこのクラスにおいて、その他3分の1の控え目な庶民は振り回されてばかりでうんざりしていた。
 学祭盛り上がったね、と言われても、盛り上がったのは3分の2の奴等が悪ノリしたせいだろう。俺らはそれをヒヤヒヤしながら見て、右往左往していただけだ。

「でも俺は通り道だしな、しょうがねえか」
「まあ……適当にフケよ」

 と言いつつ、適当にフケるのは主催に決まってんだよなとは心の中で吐いた。

 三好はチャリがパンクして、やむなく不参加が決まる。
 どうせいてもいなくても影響ないだろうし、俺もわざわざ行かずに帰ろうか。
 それでも自転車を進めて心底途方に暮れていた俺の横で、バスが停まった。赤いラインのやつだから、やばいな、クラスの奴等が乗ってるかも。

「木野」
「あ、石間」

 そうだよな。クラスの奴等は駅まで直行するか。

「なんでこんな所で降りたんだ?」
「木野が見えたから」
「やめろよ」
「悪い、ウソだ」

 なんだよ、ウソって。
 石間が爽やかな笑顔でうちわを扇ぐ。その風がわずかに俺の前髪を持ち上げた。

「俺んちこの奥なんだ。汗かいたし着替えてから行こうかと思ってさ」
「打ち上げ行くの」
「もちろん。…木野は行かねえの」

 それこそもちろんだ。

「行くつもりだったけど三好も都合付かねえし、今日は帰ろうと思っていたところ」
「ふうん」

 石間は俺の体の向きとは逆方向に歩きながら、手招きをした。

「木野」
「なに」
「俺もやめた。木野と遊ぶ」
「はあー?」

 石間は、その、ほんとに俺のこと好きなのかもしれない。

 なんて思うだけならタダだ。

作品名:ブローディア夏 作家名:しらとりごう