サイコシリアル [1]
「志那、お前は今、殺されそうなんだよ」
「は?」
ヤバイ、率直過ぎた。
妹はまだ情緒不安定らしい。
手には斬島顔負けの日本刀(妹の趣味)が握られたいた。
「志那ちゃん。涙雫君の言っていることは本当よ。言い方は頭の悪さを披露しているようなものだけど。ともかく、あなたは、今、殺されそうなの。言い換えれば殺されかけているわ。身体的にではなく、状況的に」
体の疲れを癒すためか、二人掛けのソファーを我がもの顔で占領している戯贈が言った。
「それはどういうことですか?」
志那は手に持っていた日本刀を鞘に収めながら言った。
美少女と日本刀━━素晴らしい。
出来れば和装をしていてくれれば、と後悔したのは言うまでもない。
「後悔する暇を与えず、殺すわよ。語り部は語り部らしく語りなさい」
「はい、申し訳ございませんでした」
どうやら僕の周りには読心術スキルを持ちあわす人間が多いらしい。
多いと言っても二人だけど。
比率的には多いんだろうか。四人中二人。要するに五十パーセント。
日本の人口は約一億二千万人だから、六千万人も読心術スキルを持ち合わせているとも思えないから、やはり四人中二人でも驚異的なパーセンテージなのだろう。
ていうか、朧気町民は変わった人が多いのかな?
「続けていいかしら、涙雫君」
「勿論ですとも、戯贈さん」
暫く余計なことは考えずに、語り部に集中しようじゃないか。
「志那ちゃん、さっきの気味の悪い男は誰だか分かるかしら?」
「いいえ・・・・・・心当たりはありません」
「でしょうね。あの男は連続殺人魔、斬島猟木よ」
「・・・・・・え?」
志那も、今話題の連続殺人魔の名前は知っているみたいだ。そりゃそうか、ここら一帯では有名すぎるほどに有名なのだから。
「彼の狙いが━━あなたなのよ、志那ちゃん」
戯贈は会話にリアリティを出すためか、一瞬の溜めを作り、志那に告げた。
「前回の犯行現場に予告があったのよ。予告というか志那ちゃんの写真がね」
そう、志那の写真が死体ごと串刺しにされていたのだ。
これも戯贈曰く、だけど。
作品名:サイコシリアル [1] 作家名:たし