サイコシリアル [1]
3
いやぁ、尾行しながら見てて本当にひやひやしたよ」
「警部だろてめぇ!」
警察が一番の傍観者でどうするんだよ、おい。
僕に本気の突っ込みもとい、ガチ切れされているのは他でもない
殺し屋を公認する警部、猿渡警部だ。常識的ではない、常識外の警部。警察一の違法者。
「俺のキャラを違法キャラにしないでくれよ、涙雫君。今すぐキャラ変を要望するよ」
「心を読まれた!?」
「読んではない、感じ取るんだよ。読心術だけに」
「漢字の意味を知れ!」
何が『だけに』だ。何ともかかってはいないし、うまくもなんともない。
本当に何者なんだ、猿渡警部は。
「ただの━━男、だよ」
「傍観者なんて男らしくねぇのにな!」
だったら、男らしく斬島を逮捕しろよ。いや、警部らしく。
というより警部なら、だな。
「お兄ちゃん、全く話が読めないんだけど」
「涙雫志那ちゃん、話は読む者じゃない。聞いて感じて理解するものだよ」
「よし、少し黙ろうか」
じゃないと一向に話が進まないし、展開もない。
猿渡警部はほっといて、現状を説明させてもらうと、端的に言えば作戦会議をしている。
今後の斬島の行動と動向について。そして、斬島をどう切り抜けるか。
実際には、あまり会議は進んでいない。
そして、今回の斬島襲撃の件で僕が分かったことと言えば、本当に斬島が妹を殺そうとしていたという事実を実感しただけだ。
当の本人の志那は、何も理解していないが・・・・・・というよりも先程まで志那は取り乱していた。それはもう・・・・・・僕の方が先に死んでしまうんじゃないか、というほど。
そんな妹に殺されるデッドエンドはごめんなので、全力で生にしがみ付いたわけだけど。ていうか、語り部が死んだら元も子もないじゃないか。
・・・・・・余計な話は置いておいて、僕はまず志那に現状を説明することにした。
作品名:サイコシリアル [1] 作家名:たし