サイコシリアル [1]
「前にも言ったでしょう。私には行動力が欠如しているって。もう立っているだけで精一杯だわ。満身創痍というやつかしら」
「満身創痍ではないな」
「とにかく、今すべきことは」
ともかく、戯贈の言っていることはあながち嘘ではないみたいだ。額に、うっすらと汗をかいているのが分かったからだ。相当な無理をしているのだろう。
それは誰の為だ? 戯贈は、依頼の完遂だとか言いそうだけど、最終的には僕と志那の為と言い換えることが出来る。
「何をひそひそと話しこんでいるんだい? もう会話に飽きたから殺っちゃっていいよネ?」
斬島がそう言ったと同時。
「一旦退くわよ」
何となくそう来るだろうと予想していた僕は、戯贈をおぶり、志那の手を引きながら全力で走った。
斬島との再戦という名の『殺し合い』に備えて。
作品名:サイコシリアル [1] 作家名:たし