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サイコシリアル [1]

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 人間は、追い込まれた状況にならずとも、ある程度の境地に立たされ現状が分からなければ恐怖を感じるだろう。もっと分かりやすく例えるのであれば、突発的に起きる地震や停電に恐怖を多少なりとも感じるかのように。
 しかしながら、善と悪の区別がない、もとい概念がということは厄介極まりないのも事実。
 何をしでかすか分からないし、何をどうするかも分からない。
 ただ一つだけ分かることは、狂っているということ。
 狂気の塊。斬島猟木。
 「女子高生は『美少女』という括りには入らないの?」
 戯贈は動じない。立ち位置も動かなければ、心も恐怖などでは揺れ動いてないだろう。
 正に、不動。他の何にでもない。
 質問としては、少々突っ込みたいところだけど、この場合は良しとしよう。
 「ひゃはっ。分からないかな? 女子高生は少しばかり脂が乗りすぎているんだヨ」
 分からない、決して分かりたくもないというのが率直な意見だった。
 「成程ね。話は変わるけど斬島猟木、その『ヨ』とか『ネ』は片仮名で喋る必要はあるのかしら? 気持ち悪さ成分しか含まれていないわ」
 不動とは、自らのペースを変えないとも比喩することが出来る。戯贈は、全く持って自らのペースを乱さずに喋っている。しかも、侮蔑も添えて。
本当に図太い神経だな。
というよりも、肝が据わっている。
そして、そこは突っ込むな。
作品名:サイコシリアル [1] 作家名:たし