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サイコシリアル [1]

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せっかく今月出るアニメDVDを買おうと思って貯めていたのに、貯めていたのに!
「見られたくない物、知られたくないことは隠しておくものでしょう? その財布は、見てくださいと言わんばかりに置かれてあったわ。どちらかと言わずとも涙雫君に非があると思うわね」
「人としてどうなの、それ!?」
「人として━━という定義は何なのかしら。是非ともご教授願いたいところね。それとも涙雫君は十人十色という、ことわざを知らないのかしら」
「僕は上告するぞ! 最高裁だ!」
「それだったら裁判長は私ね、他に適任がいないもの」
「勝てる見込みがねぇ!?」
「勝てる見込みがない戦いは、奇跡を待つしかないものよ。もっとも、奇跡とは起こらないことを言うのだけれども」
く、こいつは本当に高校三年生か?
「負けを認めなさい、涙雫君。言葉足らずな言い訳は更に墓穴を掘ることになるものよ」
「参りました」
いつか絶対に言い負かしてやる、と密かに誓った瞬間だった。
「そういえばさ、お兄ちゃん」
志那が僕と戯贈のやり取りを楽しそうに見つめながら言った。
「どうした?」
「本当に二人は付き合ってるの? 中学生の私から見ても付き合ってる様には見えないよ?」
なんという勘の鋭さ。
これが巷で噂の女の勘、というやつなのだろうか。
「そうよ、志那ちゃん。私は涙雫君が好きで好きでたまらない。私は、ダメな男に惹かれてしまうようなの」
僕が一瞬返答に迷った瞬間に、戯贈が言った。
「んな!?」
よくもまぁ、さらっとそんな嘘が言えたもんだ。
「どうしたの、涙雫君。あなたも私のことが好きで好きでたまらないじゃない」
「え、うん。まぁ」
ぶっちゃけ、冗談と分かっていても異性から好きと言われると嬉しいものだな。僕が戯贈の言葉に殺されそうだよ。
「へー、そうなんだ。こういう付き合い方もあるんだ」
戯贈があまりにも真顔で言うものだから、志那も妙に納得してしまったみたい
だ。
変な納得をさせてしまったのは、兄としてどうなのかと思うが、今後健全に育ってくれることを願うまでだ。
「そういえばさ、お兄ちゃん。今、何処に向かってるの? ラブホテルに行きたいならこっちじゃないよ?」
「妹がいるのに行けるか!」
何故中学一年生がラブホテルの場所が分かるんだ。
作品名:サイコシリアル [1] 作家名:たし