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サイコシリアル [1]

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「所詮、国家の犬の力量なんてそんなものよ、涙雫君。猿渡警部、無駄話はいいから、早速情報を提供しなさい」
戯贈が歳上の猿渡警部に命令した。
「酷い言い草だね、戯贈ちゃん。まぁ、いいか。じゃあ、早速だけど話させてもらうよ」
僕は、この一連の会話で心底思った。
何故、猿渡警部は警部に昇進出来たのだろうと。
その答えは、永遠に闇の中。
「はっはっは、涙雫君。何故、俺が警部に昇進出来たんだろうと思っているね?」
「心を読まれた!?」
「その答えは、永遠に闇の中だよ」
「しかも的確に!?」
なんという人間離れした能力だ。
世間は狭いが世の中は広い。
「読心術の披露はこの辺にしておいて、本題だ。斬島猟木、戯贈ちゃんから大抵の情報は聞いていると思うけど、未だに彼の動向が掴めない。だから、いつ涙雫志那が狙われるか分からない。それは、明日かもしれないし、明後日かもしれない。もしかしたら一ヶ月後かもしれないってことだ」
いつ狙われるか分からない、という恐怖ということだろう。
焦らされて、焦らされて焦らされた挙げ句、狙われる。
実に厄介極まりない手法だ。
「それに、いつ狙われるか分からないということは、何処で狙われるか分からないということと同意義なんだ。分かるね?」
「うん」
それは当たり前だろう。
いつ狙われるか分からない、何処で狙われるか分からない。
だから人間の恐怖心を煽るんだ。
そして、それを斬島猟木は楽しんでいる。
強者が弱者を手玉に取り、弄ぶかのように楽しみ、快楽に変えているのだろう。
作品名:サイコシリアル [1] 作家名:たし