Dearest
あたらしいご主人は"りせは"だとなのった。
"すーつ"っていうきれいなふくがよごれるのもかまわず、
りせははぼくをいえにつれてかえって、
そしておふろできれいにあらってくれた。
りせはの家は、おせじにもお金もちとはいえなくて、
むしろびんぼうといったほうがいいくらいだった。
とてもたくさんきょうだいがいて、
りせはが"ほすと"っておしごとをしてお金をかせいで、
いもうとやおとうとのおせわをしていた。
お金によゆうなんてぜんぜんなさそうなのに、
それでもりせはの家はいつもえがおがあふれてて、
そして、わらってぼくのことをむかえてくれた。
さいしょは「またすてられるんじゃないか」ってこわかったけど、
りせはは「そらはあたらしいカゾクだよ」って言ってくれた。
いっぱいおはなしもした。
りせはのかぞくのこと。
ともだちのこと。
おしごとであったこと。
りせはがおんなのこなのにおとこのこみたいなのは、
本当はおんなのこだけど"ほすと"っておしごとのために
おんなのこだってことはないしょにしてること。
『そら、おいで!今から歌うよ!!』
それと、りせはは、うたをうたうのがじょうずだった。
ぼくは、りせはのうたがだいすきだった。
ねていても、りせはのうたがきこえたらとんでいくくらい、
それくらいりせはのうたがだいすきだった。
りせはのうたをきくのも、
りせはといっしょにおしゃべりするのも、
りせはといっしょにボールあそびするのも、
りせはといっしょのふとんでねるのも、
ぜんぶ、ぜんぶ、だいすきだった。
りせはのことが、だいすきだった。