小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Dearest

INDEX|3ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

―――ズキン。


いたみは、ある日とつぜんやってきた。

いたくて、くるしくて、本当はさけびたくて、
でも、きっとしんぱいかけちゃうからガマンした。

ぼくがいたいって言ったら、
きっとりせははおしごともほっぽりだして
ぼくのしんぱいしちゃいそうだから。
だから、ひっしでいたいのをこらえた。

ぼくはりせはがすきで、
ぼくをひろってくれた日に見せてくれたみたいな、
おひさまみたいなあのえがおがすきで。

だから、りせはのかなしいかおはみたくなくて、
ぼくはギュッといたいのをがまんした。

ガマンしたけど、いたいのはずっとなくならなくて、
いたくてねることさえできなくて、
家の中をフラフラして、きづいたらりせはのそばにいた。


『そら?どうしたの?』

【ねぇ…りせは、うた、うたってよ。】

『ん?なーに?なに甘えてるの?』

【ぼく、りせはのうたすきなんだよ。だから、ねぇ、うたって?】

『うーん、この様子は…歌……かな?』

【そう。うただよ。ねぇ、うたって。そしたららくになる気がするんだ。】


ぼくはりせはのひざにあごをのせてねそべった。

だいすきなりせはのにおいがして、
だいすきなりせはのこえがすぐちかくでする。

このばしょは、ぼくだけのトクトウセキ。









やさしいりせは。

かわいいりせは。

なきむしなりせは。

よくわらうりせは。

うたがすきなりせは。

おかしをよくたべるりせは。

やさいがきらいなりせは。

えんぎがじょうずなりせは。

おどりがかわいいりせは。

がんばりやさんなりせは。

さみしがりやのりせは。



ぜんぶ、ぜんぶ。
ぼくがこの5ねんかんでみてきたりせは。
ぼくのだいすきなりせは。









『・・・・・・そら?』

【・・・・・・・・・】

『そら?―――っねぇ!そらっ!!』

【りせ・・・は・・・・・・】

『そらっ!やだっ!!ねぇそらっ!!』

【やだな…なんで泣いてるの…うたのつづき………は………?】

『そらっ!やだよ!起きてよ!そらっ!!!』

【ぼく…ちょっとねむいだけなんだよ、りせは………】


りせはが、なんどもぼくのからだをなでてくれていた。
それにこたえたくて、なんとかはなをこすりつけようとするけど
からだにぜんぜんちからが入らなかった。


どうしよう。

りせはが、ないてる。
ぼくのために、ないてる。

りせはがなくのいやだから、いたいのガマンしたのに。
りせはにわらってほしいから、いいこにしてたのに。


『お母さんっ!そらが…そらがっ………!!』


家の中が、さわがしくなる。
みんながぼくのところにやってきて、
りせはがいっぱいいっぱいないていた。








ねぇ、りせは。なかないで。

ぼくは、この5ねんかん、しあわせだったんだよ。

りせはにひろってもらえて、
りせはといっしょにくらせて、
りせはといっしょにいろんなことして。

ほんとうに、ほんとうに、しあわせだったんだよ。



『そらっ…!!!』

【りせは…ほら…わらって…?うた…うたってよ………】



おわかれじゃないよ。
バイバイじゃないよ。

ぼくは、ちょっと先にかえるだけなんだ。
りせはがつけてくれた、この"そら"ってなまえのところに。



【りせは………ありがとう。だいすき―――…】

『そら―――――…っ!!』




ねぇ、りせは、なかないで?

ぼくはちゃんと、りせはのそばにいるよ?
ずっと、りせはのうたきいてるよ?



ねぇ、りせは、しってる?

りせはがひろってくれたあの日、
ぼくには雨あがりの空のたいようよりも、
りせはのほうがかがやいてみえてたんだよ。



ねぇ、りせは、わらって?

りせはがわらってくれないと、
ぼくりせはがしんぱいで空にいけないよ。
りせはは、ほんとうにせわのやけるおねえちゃんなんだから。



ねぇ、りせは、あのね?

ぼくは、ずっとずっと、りせはがだいすきだから。
だから、いつかぼくは、またりせはにあいにいくから。
それまでぼくのこと、わすれないでね。

それで、そのときはまた、うたってほしいんだ。



だから、ばいばい、じゃなくて。

【――――――…りせは、またね。】


















< だいすきな、たいせつな、りせはへ。

    りせはとであえたことは、ぼくのたからものだよ。>
作品名:Dearest 作家名:ユエ