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　息子が死んだ。

　墓前には私一人。
　バイクで身体をズタズタにして。私や妻の想いを蔑ろにして。
　私は良い父ではなかった。かつて 私の父がそうであったように。
　もっと注意していれば、もっと厳しくしていれば、もっと優しくしていれば。
　後悔ばかりが空回りして。
　妻が亡くなって以来、私の関心事は全て息子の事で。
　彼は私の魂を未来に繋ぐ最後の希望だった。
　今の私は微風にさえ身を揺らして。
　まなこを閉じて息子の不遇な生涯を想う。私の一生を想う。
　全ての時間が止まり、私は其処から動けなかった。