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お題・後悔
とろけてしまった。
王様がとろけてしまった。
僕が彼の部屋に着いた時にはもう遅かった。
彼はとろけてしまった。
僕は悲しくて悲しくて、ジェルみたいになってしまった王様の上に涙を落とした。
王様はぷるんっと僕の涙を弾いた。
王様は僕を拒んでいる。
きっとそうに決まってる。
王様は一人ぼっちだった僕に微笑んでくれた。
ただそれだけだった。
たった一度だけ、こっそりと。
…なのに僕は、王様が大好きになってしまったのだ。
誰よりも何よりも、それこそ世界の全てのように。
僕は王様をストローで少しずつすくいあげ、小さな瓶に入れた。
王様はちっぽけになってしまった。
ちっぽけな若葉色に。
…あぁ、こんなことなら。
僕が王様を消せばよかった。こんな、液体にさせてしまうくらいなら。