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ソラノコトノハ~Hello World~

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(多分……よほど嬉しかったんだろうよ。それで、オレはこの後、どうすれば良いんだ?)
『そうですね。え〜と……』

 ルーラが質問内容を考えていると、小此木琴葉の方から質問を投げ掛けられた。

「あ、あなたが、私の……私の声を聞いてくれたんですか?」
「ああ…そうだけど。いや、正確には別の……」
「そう、なんで……っ!」

 会話の途中で、琴葉は何かを思い出したのか、顔を一気にボッと燃えるように真っ赤にして、さっきよりも速いスピードで立ち去ってしまった。

「お、おい!」

 勇哉が呼び止める間も無く、琴葉は廊下の角を曲がり、その姿は見えなくなった。

「な、なんだ?」

 突然逃げられてしまったことに呆然していると、ルーラが呼びかけてきた。

『そうだ、キョロスケさん。私の名前を、そのオコノギさんという方に……』
(なんか、逃げた)
『逃げた! どうしてですか?』
(オレが訊きたいよ…)

 これから、どうするべきかと考える前に、ひとまず周りからのヒソヒソ声から逃げるように勇哉もその場から立ち去った。

   ***

 勇哉も帰る支度を終え、駐輪場に向かう中、本日の出来事をまとめ直していた。
 不思議な声の主、ルーラなんとか。
 突然、その声が聞こえてしまった勇哉。

 そして、声が聞こえてくる事に何かしら関与しているであろう電波ちゃんこと小此木琴葉。

「一体、何なんだ? それともオレは、知らぬ間にオカシナな世界に入り込んでしまっただろうか?」

 勇哉が思い悩んでいると、ルーラが話かけてくる。

『オコノギさん……どうして逃げたのでしょうか?』
(オレが知りたい……)

 その後勇哉は、今日は疲れたし、考え事をしたいから、明日まで話かけないでくれると助かると言うと、ルーラは『そうですか……それは、残念ですが……わかりました』

 名残惜しそうに承知してくれた。それっきり声が聞こえる事はなかった。
 意外と物分りが良い様だ。

 とりあえず、今日は早く寝よう。
 ああ、そうだ。
 きっとこれは夢の出来事なんだ。

 今日は、早く寝よう。そして、早く起きよう。
 そうすれば声も聞こえなくなり、普通の高校生として、普通の日常に戻っているに違いない。

 強引に自分が納得いく答えを出しながら、勇哉は自転車を力一杯こいで家路を急いだ。