小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ソラノコトノハ~Hello World~

INDEX|24ページ/41ページ|

次のページ前のページ
 

 日曜日、ルーラにテスト勉強に付き添ってもらったお陰で、それなりにテストに自信があった。そんな勇哉よりもルーラの方が勉強内容を良く覚えていたのだった。
 そこで、ここは保険としてルーラにカンニングの協力を求めたが、なんなり拒否られた以外は何事も無く、無事に全教科を終えた。ただ苦手の英語は無事ではないが……。
 チャイムが鳴ると同時に生徒達は安堵を洩らし、テストの手応えについて語り合った。
 しかし勇哉はその中に加わる訳にはいかなかった。
 それは、もう一つの課題が残っていたからだ。そう、ルーラの事を志津香たちに話さなければならないからだ。
 そうこう考えていると、掃除の時間が始まった。
 他の学生と共に掃除を始める志津香。
 まずは。
「おい、志津香」
「なに?」
 なぜか言葉に棘があった。
「なにか用なの?」
 どうやら機嫌がよろしくないようで、志津香の表情がそれを示していた。
「あ、いや……その。話しがあるからさ、放課後、空いているか?」
「なによ。今、話せば良いじゃないの」
「今、話せないから、放課後に会って話しがしたいという事なんだよ」
「そ、それって……」
 志津香の心臓が一瞬高鳴った。
「と、本宮も良いか? 放課後、ちょっと話しがあるから」
 偶然、隣をすれ違った本宮に声をかける。
 てっきり二人きりで、話し合うと思っていた志津香は思わず声を上げる。
「なんでよ?」
「だから、話しがあるって言っているだろう。で、本宮は良いか?」
「う、うん。自分は構わないけど」
「それじゃ、放課後に……と。ああ、そうそう志津香。それと穂乃香も呼んでくれないか」
「ホノも?」
「ああ。大切な話しだからな。それじゃ!」
 伝えたい事を伝え、勇哉は自分に定められた掃除場所へと向かった。
 その場に残された志津香と本宮は、
「な、なんなのよ」
「さぁ? でも、わざわざ呼んでまで話すんだから、重要な事なんじゃないの?」
「重要って、何よ?」
 本宮は、手の平を空にかざし、
「さぁ」
 おどけながら、自分も志津香と同じ思いである事を示した。


『どうでしたか?』
(ひとまず、話しがあると言っておいたよ。後は野となれ山となれ、だな)
 琴葉の方には、放課後にルーラの事を志津香たちに話すと昼休みの時に伝えている。
 あとはルーラの事を志津香たちが、すんなり受け入れてくれれば良いのだが……。
『そうですか……。ところで、キョロスケ』
(うん?)
『さっきの、ノとなれ、ヤマとなれって、どういう意味ですか?』
(え! それは……)
 などと話し合いながら勇哉とルーラは、その時が来るのを待った。


 帰りのHR(ホームルーム)が終わり、勇哉は志津香と本宮を連れて、北校舎四階の調理室へ。
 相変わらず人気が無い場所だったが、今回は調理室の入り口前に二つの人影があった。
 琴葉と穂乃香だ。
 意外な人物――琴葉がいる事に、志津香と本宮。特に志津香は驚きの顔を隠せなかった。
「ちょっと、ユウ。なんで、あの子もいるのよ?」
「あいつもゲストの一人なんだよ。もっとも、一番関わりがあるからでもある」
「どういう事よ?」
 勇哉の返答に理解を得れない志津香の頭に『?マーク』が浮かぶ。
「で、話しはなんなの?」
 志津香の言葉に威圧が増している感じがした。よほどイライラが溜まっているのだろう。
 勇哉は琴葉を伺いながら、さっそくと口を開いた。
「えー、お集まりの皆様方。これからオレが語る云々は冗談では無いので、真面目に聞いて欲しい。出来れば、笑わないで聞いてくれ」
 まずは防衛線を張っておくことに越したことはない。
 すぅと息を吸い、吐く。
「実は……オレ。宇宙人の声が聞こえるんだよ」
 勇哉の生涯最大級の告白に、
「はぁ?」
 呆れた声を上げる志津香。
 ポカーンとする穂乃香と本宮。
 一般人として、当然としての普通の反応を返してくれた。
 それは想定内だが、志津香の表情が段々と強張っていくのを目撃する。
 何か言われる前に、何かを言わなければと、
「何を言いたいかは、よく解かる。馬鹿じゃないのかとか、オカシクなったのか。だけど!」
 クルっと、志津香たちに背を向ける。
「百聞は一見にしかず、だ! 騙されたと思って、俺の肩とかどこかに手を当ててくれ。そうすれば、ルーラという宇宙人の声が聞こえるから」
 志津香たちはお互いに顔を見合わせ、折角ここまで来たんだから、この馬鹿げた茶番劇に付き合ってあげるのも一興かと、言われるがままに勇哉の肩とかに触れた。
 琴葉は、それをただ眺めているだけだった。
(ルーラ。という訳で、準備は整ったぞ。好きなように挨拶するんだな)
『あ、はい』
 そうルーラの一言を呟くと、三人は「えっ」と驚く。
 穂乃香は思わず、勇哉の肩に触れていた右手を離し、辺りを見回した。
 自分たち以外には、誰もいない。
 さっきの声は琴葉のものだと思ったが、琴葉の声色とは違っていた。穂乃香は心を落ち着かせ、再び勇哉の肩に手を置いた。
 そんな光景はルーラは知る由も無かった。そしてルーラは、琴葉がいつも唱えていた言葉で語りかけた。

     〜〜〜
 ハロー、ハロー。聞こえますか?
 私は、ココに居ます。
 アナタは、どこに居ますか?
ハロー、ハロー……。
 私の名前は、ルゥラ・ルミネル・ルヘンと言います。
 聞こえますか?
 もし……私の声が聞こえたのなら……
 “ソラノコトノハ”と答えてください。
     〜〜〜