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ソラノコトノハ~Hello World~

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 勇哉は脳内に聞こえてくる声質や喋り方で、ルーラはなんとなく女性だと思っていたので、やっぱりそうなのかと納得していた。

 ついでに小此木琴葉は十五歳で、身長は百五十センチ。性別は女性。
 これで実は琴葉が男だったら、驚き桃の木二十一世紀だったが、そんな事は無かった。

 質問のやり取りを仲介している勇哉は、よくテレビとかで来日してきたハリウッドスターの隣にいる通訳の人みたいだと思いながら、小此木の質問を述べていた。

 “何処に住んでいるか?”

 この質問から勇哉と琴葉は、ルーラが答える内容に呆然する事になっていく。

『クワントルレッシュ地方のベルデの町よ』

「(ク、クワ?)」

 聞き覚えが無く、見知らぬ地名に声を出しつつ聞き返した。

『クワン、トルレッシュ、地方の、ベルデ、の町よ』

 ルーラが日本語を自然と話しているから、勇哉は、てっきりルーラは日本の何処かに住んでいると思っていた。それ故に見当違い……如何にも外国の地名が出てきた為、多少戸惑っていた。

 だが冷静に考えれば、ルーラという名前からにして、ルーラは日本人ではなく、日本語が喋れる外国人という事も考えられる。

「クワン……トルレッシュ……地方の、ベルデの町?」

 ルーラの言ったままに、勇哉はルーラが住んでいる場所を琴葉に伝えたが、どう琴葉やらも知らない地名だったので、すぐさま訊いてきた。

「そ、そこは、何処なんですか?」

 琴葉が喋っても、ルーラに直接聞こえる訳ではないので、勇哉がその事を伝えた。

『何処って、クワントルレッシュ地方のベルデの町だけど……。ああ、大陸一規模の大きいトゥーエン大学がある所ですよ。トゥーエン大学ぐらいご存知ですよね? 世界で一番有名な大学ですよ』

(トゥーエン大学? 何処だ、そこは? 初めて聞く大学の名前だぞ)

『え、トゥーエン大学を知らないのですか?』

(世界で有名な大学と言えば、東大とかハーバード大だろう。常識的に考えて…)

『トウダイ? ハーバードダイ? んー、その大学は私は知らないですね』

(知らないって……)

 ルーラとの会話を噛み砕きながら琴葉に伝えると、琴葉も意外な表情を浮かべた。そして、勇哉に問いかけた。

「ルーラさんは、外国の方ですよね。国名を、訊ねてみたら、どうですか?」

 その意見に同意して「ああ」と頷く勇哉。

(そうだ、国名は?)

『国名ですか。国名は、アーシュット国ですけど……』

 その国は、勇哉の脳内を検索してもヒットしなかった。それは、琴葉も同様だった。

(アフリカの何処かの国か?)

『アフリカ? え、そこは、何処なんですか?』

 何処かは何処か?

 アフリカと言えば、地球の六大州の一つ、アフリカ大陸のこと。小学一年生の子供だって知っているはずだ。

 だからこそ、琴葉は困惑の声をあげる。

「ル、ルーラさんは、アフリカ大陸を知らない? それじゃ、ユーラシア大陸は? アメリカ大陸は?」

 その質問の回答は、ルーラはそれらの大陸は『知らない』との事だった。

 そして、
『私が住んでいる大陸の名前は、ノストラング大陸よ』

 さも当然のように語った言葉で、沈黙が生まれた。

 もちろん勇哉達は、そんな大陸を学校の授業で習ったり、親やテレビから新聞とかでも、見た聞いた覚えは無い。
 何処かのファンタジー小説にでも記載されてそうな大陸名だ

 勇哉は、ハッとした。

 もしかしたらルーラは、小此木琴葉よりも凄い電波ちゃんなのではと思い始めた時、琴葉がポツリと呟いた。

「も、もしかして……ルーラさんは、この星の人じゃ、ないんじゃ……」

 突拍子の無い発言だったが、今までのルーラの発言からして、勇哉もその考えに一理あると思わず同意しそうになる。

 いや、琴葉よりも電波ちゃんという線も無い訳ではないが。とりあえず、誰もが知っている事を訊いてみる事にした。

(そうだ、星の名前は何て言うんだ?)

『え、星の名前ですか? 星の名前は、私達は“アフィス”と呼んでいます』

 やはり聞き覚えが無い名称が出てきて、勇哉は固まった。

 琴葉が「何て?」と訊ねてくるような表情で勇哉の方を見つめる。正直にありのままに話すと、琴葉も勇哉と同じような顔をしていた。いや。するしかなかったのだろう。

 さて、これから何と突っ込むべきかのコメントを考えつつも何も浮かばない。そこでとりあえず「ハッハッハッ」と、わざとらしく笑ってみたが、勇哉の笑い声が虚しく響くだけだった。