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CROSS 第9話 『名誉の戦死』

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「おい!!! 山口少佐!!!」

 山口が下へと続く長い階段を下りようとしたとき、辻が後ろから
追いかけてきて、山口を呼んだ。山口は振り返って辻のほうを見た。
いたのは辻一人だけで、付添いの兵士などはいなかった。
「なんですか?」
辻は山口を高圧的な目つきで睨みながら、
「おまえらCROSSが救援に向かうつもりだろう?」
山口はため息をついた。
「……何か不都合なことでも?」
辻は腕を組むと、見下す態度で、
「勝手な行動は許さん! CROSSもこの世界にいる陸軍部隊と
 同じように私の指揮下にある!」
「……おかしいですね。我々CROSSは、本隊とは独立した部隊
 のはずですが?」
山口が静かにそう問いかけてやると……、

   ガンッ!!!

 辻が突然、山口を殴った……。殴られた山口は一つ下の踊り場に
倒れ、階段から落ちそうになった。山口は殴られた場所を触りなが
ら起き上がった。
 辻はキレていた……。
「今は私のほうが階級は上なんだぞ!!! 素直に命令を聞いてい
 ればいいんだ!!!」
辻は怒鳴りながら、階段の上に立っている。
「…………」
山口は黙って辻を見ていた。
「それに、果敢に生き残っている一木中隊には、後退せずに、突撃
 にて前進するように伝えてあるんだ!!!」
「……成功するとお思いで?」
「当たり前だ!!! 私の、陸軍古来の戦法だぞ!!! 戦死者は
 名誉の戦死を遂げたまでだ!!!」
「…………」
山口は辺りを見回した。その場には、山口と辻以外には誰もいなか
った(ちょうど昼飯の時間帯だった)が、奴隷兵の死体一個が、辻
の後ろの壁に転がっているのがチラリと見えた。(死体からは異臭
がしていたが、もう慣れていた)山口はその奴隷兵の死体を見て、
ニヤリとした。
「な…何がおかしい!!!」
山口のニヤけ顔に気づいた辻が少し狼狽えた様子で怒鳴った。
 山口はポケットから一枚の小さな紙を取り出した。それはスキル
カードだった……。次の瞬間、そのスキルカードが赤く光った。そ
れは、何かの呪文が印されていたあのスキルカードだった。
「!?」
辻は赤い光に驚いた。そして、赤い光が収まると、さらに狼狽え始
めた。
「な…な…何をした!!!」
山口はニヤニヤと笑いながら、ゆっくりと立ち上がった。山口は両
手を上げていた……。
「こういうことですよ」