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CROSS 第9話 『名誉の戦死』

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「いったい何が始まるんです?」
放置してあった木箱の上に腰かけていた佐世保が、山口に尋ねた。
「すぐにわかるよ」
「まぁ、だいたい予想できますが」
「オートバイはここに置いて行こう」
「大事な物ですからね」
「少佐、トラックの荷物を降ろしました」
赤い十字マークが印されている医療パックをかついでいる衛生兵が
山口に言った。
「ああ、ごくろうさん」
山口はそう言うと、全員に対して、
「それじゃあ、みんな。全力疾走する準備をしてくれ!!! 橋と
 走り出すぞ!!!」
「少佐殿、橋とは何ですか?」
衛生兵の一人が悪い予感がするといった様子で質問した。山口は微
笑んでから、
「そこにある君たちのトラックのことさ!!!」
明るい口調でそう答えた……。
 一瞬、衛生兵たちは山口の言ったことを冗談だと思ったが、そう
じゃないことがわかると、すぐに山口に詰め寄った。
「困ります!!!」
「一旦、引き返すべきです!!!」
自分たちの持ち物とも言えるトラックを橋代わりにされてはたまる
かと、衛生兵たちは必死になっていた……。山口に詰め寄る彼らを、
CROSS隊員が「まぁまぁ」と押し静めた。そんななか、衛生兵
の一人が、トラックの電源を落とそうと(帝国連邦軍制式のトラッ
クは完全電動式だ)、トラックに駆け寄った。それを見つけた山口
はすぐに、
「そこのトラック!!! 全力で前進して、崩れている部分に突っ
 こめ!!! 私が許可する!!!」
山口はそう命令した
『了解しました』
すぐにトラックのコンピューターはそう答えた。衛生兵たちは一斉
にトラックへ駆け寄り、トラックを制止しようとした。
 しかし、その前にトラックが急発進して、あっという間に前へ走
って行ってしまった……。衛生兵が空しく見送っていた。