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CROSS 第9話 『名誉の戦死』

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 衛生兵たちのトラックは猛スピードで走り、城壁の崩れた部分に
飛びこんだ。衛生兵たちは目を覆っていた……。
 それを尻目に、山口たちCROSSと工兵たちは一斉に前へ走り
出した。何人かの工兵は哀れみの視線で衛生兵たちを見ていた……。

   ドォーーーン!!!!!!

 トラックが崩れている部分にぶつかり、大きな音と砂ぼこりを上
げた。山口たちは口を押さえながら走り続け、崩れている部分の手
前で立ち止まった。
 「橋」はできていた……。トラックの前後がうまく引っかかり、
人が渡ることができそうだった。
「おい!!! 早く来い!!!」
山口は振り返って、まだ防御陣地に残っている衛生兵たちに言った。
衛生兵たちはふんぎりがまだついていない様子だったが、こっちに
向かって重い荷物をかついで走り出した。

 衛生兵たちの到着を前に、山口と佐世保が先陣をきって「橋」を
渡った。ボンネットから白い煙が上がっていたが、気にしていなか
った。二人が渡り終えると、CROSS隊員と工兵も次々に渡り始
めた。そのころには、衛生兵たちも到着した。衛生兵たちは、呆然
とした様子で、その「橋」であるトラックを見ていた……。いつ敵
がやってくるかわからないので、山口は急いで渡るように言った。
 そして、最後の衛生兵の2人が渡っていたそのとき、

   ヒュンヒュンヒュン!!!

 連続した風を切る音とともに、橋の上にいた前の衛生兵の体に3
本の矢が突き刺さった。後ろの衛生兵が驚いて引き返そうとしたが、
彼の体にも矢が突き刺さった。
 そして、2人とも痛みに叫びながら橋の上を転がり、橋から城壁
の下へ落下していった……。
「こっちにも攻撃が来るぞ!!! 進め!!!」
山口がそう叫んだ瞬間、工兵の一人の頭に矢が突き刺さった。それ
を見て、全員が前へ走り出した。
 気づけば、もう城は目の前だった。しかし、前方の城門の上の物
見台の上には、3体の弓兵が待ち構えていた。攻撃してくるのは、
こいつらだった。こいつらは、また矢を放った。3本の矢は、佐世
保の近くを走っていた衛生兵の体に突き刺さり、衛生兵は叫びなが
ら倒れこんだ。
「クソ!!!」
山口は走りながら、魔力がこもった自動小銃で3体の弓兵に向かっ
て撃った。放たれた数発の魔弾が、3体のうちの2体の弓兵を撃破
した。しかし、残りの1体が山口に反撃し、飛んできた矢が山口の
顔をかすった。顔にできたかすり傷から血がちょっと出てきた。
「やりやがったな!!!」
山口はそう悪態をつくと、自動小銃に取り付けられているグレネー
ドランチャーを使用した。「ボン!」という音ともに、グレネード
弾が放射状に飛んでいった。グレネード弾は、弓兵に見事命令し、
弓兵の肉片が降ってきた……。