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CROSS 第9話 『名誉の戦死』

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第5章 橋代わり



 この防御陣地を制圧したころには、山口と佐世保と数人のCRO
SS隊員と、合わせても10人に満たない工兵と衛生兵の部隊だけ
だった……。おまけに、工兵のトラックがやられ、衛生兵のトラッ
クが一台しか残っていなかった。
 防御陣地の通路部分に停めてある衛生兵のトラックの近くで、衛
生兵が負傷兵の救護に当たっていた。幸いにも、全員が軽傷ですん
でいた。他の全員は、防御陣地で休んでいた。元仲間の死体は布を
かけたりしていたが、元々敵だった奴らの死体は城壁から下へ捨て
た……。

「あそこを越えなきゃいけないのか……」
山口は防御陣地の屋上から、小型の双眼鏡でこれから進む道を観察
していた。双眼鏡には、城壁の崩れた通路が映っていた。さきほど
と同じぐらい崩れており、橋を架けないことには渡れそうになかっ
た。しかし、橋を架けるために必要な資材は、トラックとともに失
ってしまっていた……。
「山口少佐、一度引き返すしか……」
山口の横にいた工兵が言った。工兵はもう疲れて果てている様子だ
った。しかし、山口は何か思いついた様子で、
「おい、残っている衛生兵のトラックの大きさは?」
山口は工兵に尋ねた。工兵は衛生兵のトラックを階段の影からチラ
リと見てから、
「うちの工兵隊のトラックと全く同じタイプのようですから、前か
 ら後ろまでの長さが約20メートルで、幅が約5メートルですね
「それだけありゃあ足りるな」
「……何を考えているんですか?」
工兵は疑問を浮かべていたが、すぐに返ってきた山口の答えに唖然
としていた……。

「衛生兵のみんな。トラックの中の物を降ろして、持ち運べるよう
 にしてくれ!」
山口の命令に、衛生兵たちは戸惑いつつも従い、トラックの荷台に
積んであった医療品などをかつぎ降ろし始めた。