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CROSS 第9話 『名誉の戦死』

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 山口の後に続くように、工兵と衛生兵を乗せたトラックが橋を渡
っていく、しかし最後の衛生兵を乗せた一台が橋が渡っているとこ
ろ、
「伏せろ!!! ロケット弾だ!!!」
CROSS隊員の一人が声を上げて、そのトラックのボンネットに
いた隊員が、山口たちがいるほうへ飛んだ。
 静かな推進音がしたかと思うと、一発のロケット弾が最後の一台
のそのトラックのボンネット部分に命中した……。ボンネットの中
のエンジンが引火し、すぐに橋の上で爆発した。乗っていた衛生兵
たちは逃げる間も無くぶっ飛んだ。中から両腕を無くした血まみれ
の衛生兵が火だるまになって出てきたが、すぐにその場に倒れた…
…。
 やがて、爆発したトラックは、炎上しながら城壁の下のかなたへ
落ちていった。少しして、大きな爆発音が起こる。

 この時点で生き残ったのは、山口と佐世保と8人のCROSS隊
員と、10人ずついる工兵と衛生兵だけだった……。工兵と衛生兵
の武器はピストルぐらいのものだ……。トラックは、衛生兵のと工
兵のが一台ずつだけだった。

   ヒュン!

 山口が被害状況を確認し終わったとき、風を切る音とともに、少
佐の近くにいたCROSS隊員の一人がドサリと倒れた。倒れたそ
の隊員の頭には、一本の矢が貫通していた……。
「あそこから攻撃してるぞ!!!」
誰かの大声で、山口はその方向を見た。
 その前方の方向には城壁の防御陣地があり、屋上に数体の兵士が
いるのが見えた。ほとんどが弓矢や剣や槍といった中世らへんの武
装だったが、帝国連邦軍制式の自動小銃やロケットランチャーなど
を装備した兵士もいた。幸い、固定式機関銃は弾が無いようで、そ
のまま放置されていた。
「全員、前方の防御陣地の屋上に威嚇射撃をしつつ、前進しろ!!!
 トラックも前進させろ!!!」
山口のかけ声とともに、隊員と衛生兵と工兵は、屋上に銃撃をしつ
つ、前方の防御陣地に向かって進んでいった。
 しかし、大多数の武器がピストルのため火力が弱く、たまに反撃
を喰らった……。何人かの工兵が、うまく防御陣地の中に入ること
に成功したが、中で守りを固めていた敵兵に剣や槍で殺されていっ
た……。衛生兵の一団も息を切らせながら、防御陣地の中に入りこ
み、中にいた敵兵たちの姿に見て狼狽えた。だが、すぐ後ろにいた
CROSS隊員によって敵兵たちは撃破された。
 ソウルを奪われた工兵が起き上がり、隊員と衛生兵に襲いかかっ
た。たった今撃破したのは、元々敵だった奴らだったため、簡単に
攻撃できたが、数分前まで仲間だった奴らを攻撃するのは簡単なこ
とではなかった。

 そこに山口と佐世保が、あのサイドカー付き全自動オートバイで
現れ、その哀れな元仲間を一瞬で轢き殺していった……。
「ためらうな!!!」
山口はオートバイを停車させてから、その場の全員に言った。オー
トバイのタイヤには肉片が絡まっていた……。
 そして、山口は魔力をこめた自分の自動小銃を構えると、屋上に
上がっていった。