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CROSS 第9話 『名誉の戦死』

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第4章 進行



 たまたま、城壁の上の通路へと続く部屋がガレージで、兵営から
も近かったため、今回の救助作戦の準備はすぐに整った。ただ、短
時間で準備が終わったことに、「心の準備」ができていないらしい
佐世保はブツブツと文句を言っていた……
 救助部隊の構成は、ほとんどがここの兵士で、先頭に山口と佐世
保と数人のCROSS隊員がついた。工兵と衛生兵は、ロボット式
輸送トラックに資材や医療品などとともに乗りこんでいた。合計2
個小隊の部隊だった。さらに、基地の部隊が援護してくれる。
 オートバイの運転席には山口が座っており、無理やり取り付けら
れたサイドカーには佐世保が渋々座って、備え付けの機関銃を構え
ていた。ロボットによる無人操縦のため、山口はただ振り落とされ
ないように座っているだけだ。
 山口はグレネードランチャー付きの自動小銃などを装備しており、
佐世保はこの基地に来たときとほとんど同じ装備をしていた。
 城壁の上の通路へと続く道には濃霧がかかっていた。しかし、壁
状の不思議な霧で、向こう側が透けて見えていた。

「それじゃあ、みんな!!! 1、2、3で作戦開始だ!!! 死
 にたくなければ動くのをやめるな!!!」
兵士たちは弱々しく返答した。この霧の壁の向こうが地獄であるこ
とぐらい彼らは理解していた。一方、初見のCROSS隊員たちは、
何も知らずに歓声を上げていた……。
「1!!!」
山口が武器や装備などの確認をしながらカウントを開始した。
「2!!!」
サイドカーの佐世保が、天を仰いだ。兵士たちも、お守りに触れた
りしていた。
「3!!! 行くぞ−!!!」
山口はそう作戦開始の合図を告げると、山口と佐世保を乗せたオー
トバイ型ロボット『ジャイロ』が、一気に霧の壁の向こうまでブッ
飛ばしていった。その後を、隊員や兵士が追った。トラックもゆっ
くりと動き出し始めた。



 霧の壁を抜けると、霧は晴れていた。しかし、太陽の光はあまり
届いておらず薄暗かった。それでも、城壁の上の通路の向こうにあ
る城の姿を拝むことができた。
 山口と佐世保を乗せたジャイロがどんどん進んで行く。部隊から
突出していることに佐世保はわめいた……。おまけに、空を飛ぶド
ラゴンの姿を見つけると、今にも逃げ出しそうなほどパニクり始め
た……。
 ドラゴンが山口たちの頭上を飛び越え、後ろの救助部隊のほうへ
向かった。山口がジャイロを停車させて「気をつけろ!!!」と叫
んだ瞬間、ドラゴンは口から炎を吐いた。悲鳴が炎の中から聞こえ
てきた。