コミュニティ・短編家
お題・別れ
かむかむ大学との別れが近い。
私は絶望のあまり溜め息をつく。
―…かむかむ大学なしでどうやって生きていくのだろう?
―…そもそも一体かむかむ大学に通っていない奴らはどうして生きていけるのだろう?
私はまた絶望のあまり溜め息をつく。
かむかむ大学は全くすばらしい学び家だ。
なんとあの、正真正銘のかむかむ及びかむかむ西部からはるばる海を越えやって来た、世界かむかむ学かむかむ遺伝子研究会本部の非常にかむかむ的な研究をしているかむかむ副会長が理事を担当しているのだ。 それだけでも十分行く価値があるというものだ。
彼は本当にかむかむ的な角度から見た地球規模的かむかむ議論が素晴らしく、その研究をまとめた著作『かむかむ』などと言ったら感動のあまり読んだあと丸2週間位は会う人会う人全てにその話を語って聞かせたくらいなのだ。
他にもたくさんあるが、あまりに素晴らしすぎるため全てを言い表すことは出来ない位だ。
…本当にかむかむは凄い。
そんなかむかむを私に導いてくれたかむかむ大学は本当に素晴らしい。
しかし、世間はそんなかむかむ大学と別れろという。
世間は何もわかってはいないのだ。
かむかむ無しの人間がいかに酷いものか、それに比べかむかむについて仲間と熱心に語らう学生の生き生きとした姿はいかなるものか。
かむかむが及ぼす精神的な向上心や内部に潜む目覚めを促す影響力。…その他もろもろとても言葉ではいい尽せないかむかむの素晴らしさを。
…どうすればいいのだろう?
どうすれば。
とても奴らが私の話を理解できるとは思えない。
…いや、理解できないだろう。
私はかむかむに祈る
深く深く。
…すると、かむかむは私の魂で叫ぶ。
私はごくりと唾を飲む。
心臓が優しく鼓動する。
私はその答えを聞き思わず満面の笑みになった。
…その通りだ。
かむかむ大学との別れを恐れるなら世間と別れればいい。
かむかむとの 別れを恐れるなら、身体と別れればいいのだ。
私は深く納得し、綺麗に自分の首を切った。
作品名:コミュニティ・短編家 作家名:川口暁