雪と真珠
それから一ヶ月、スノウとパールは過ごしていました。
スノウは食事をするときパールに絶対にその姿を見せず、何を食べているのかを教えませんでした。
そして自分が住処にいない間は住処から絶対に出てはいけないと言いました。
スノウは食べ終わったら近くの沢まで行き、冷たくなった水に顔をつけて洗いました。
あくまでもスノウは狼です。何かの生き物の肉を食べなければいけません。
ウサギの死骸を食べることだってあるのです。パールには絶対に隠さなければならないのです。
顔を綺麗にしてから住処に戻るとパールと共に草の生える場所まで出向きます。
パールの食べる草は彼らが出会った方まで行かなければありません。
なのでスノウは住処に帰る前に花を一輪摘み、咥えて持ち帰ります。それは暗い、日のあたらない一角で彼らが離れ離れにならないための目印でした。
そしてパールの食事が終わったら住処の前に毎回目印に使った花を置きました。
ある日スノウが食事を終えて住処に戻ると住処の前でパールが何かをしていました。
「何をしているんだい?」
こっそり近づいてパールに聞くと「秘密よ」と穴を埋め続けました。
そして今日も持ち帰った一輪の花を耳に付けてもらって一緒にパールの食事に出かけるのでした。
パールの食事の間、久しぶりに梟に出会いました。
声をかけると宝石の話を詳しく聞きました。
梟は森の端、海の見える場所にあると詳しく教えてくれたのでした。