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ファック・トゥー・ザ・フューチャー

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「君もこのままでは退学だ。知っているか。女の中卒はつらいもんだぞ」
 田中のリアルなアドリブに、洋子は何も言わず、俯いて下唇を噛んだ。摺り合わせた太股が、粘液で濡れている。
「そうか、いいのか。残念だな。こんな事で。人生台無しだな」
 田中の意地の悪い台詞の後、沈黙した空間に四人の息遣いだけが響いた。カメラの液晶に表示されたカウンターが、音も無く進み、一秒間に三十枚のスピードで記録されて行く映像には、変化がない。洋子が動かない。やはり変態教師に抵抗があるのだろうか。最悪の場合、田中の出演は諦めて吉田との絡みを続けさせよう。焦れた矢吹が一旦カメラを止めようとしたその時、動いた。洋子が体を起こし、四つん這いで前進して行く。
 卑猥に尻を動かし体をくねらせながら進む洋子が、田中の足元に辿り着き、ゆっくりと膝立ちになる。白衣の合わせを開く。黄色いマニキュアの指先でジッパーを抓み下ろし、ブリーフの間をまさぐって陰茎を引っ張り出した。吉田の巨根と比べても遜色の無い、黒光りした逸物は、挑むように血液を漲らせ、洋子の鼻先を指している。
「おお」
 包まれた田中は堪らず呻き声を立てた。三十女の口腔の動きは、磯巾着を連想させた。府中のソープ嬢よりも数段上を行っている。田中は教え子の成長に、目を細めた。生意気だった少女が今、自分の支配下にある。手抜きの無い舌遣いが内申点を上げた。早乙女洋子が、牛乳を嫌いだった事を、ふと思い出した。牛のミルクが飲めない女が、男のミルクを体に浴びる。その事を想像した田中の逸物は、更に硬く、肥大化して行った。
 独りになって何をしていいのか分からなくなった吉田は惚けたように、小刻みに動く洋子の後頭部と矢吹の顔を、交互に見ている。相手を奪われて百合の蕾のようにやや下を向いた陰茎を見て、矢吹は吹き出しそうになった。
(な め て)
 声を出さずに指示を出す。
(え)
(な め て)
 次はその後に、舌を出して身振りで補足した。
(あ   わ かっ た)
 吉田は嬉しそうに頷き、匍匐前進で洋子のスカートに潜り込む。すぐに淫猥な音が響き出し、頭にスカートを被った吉田の、百合が咲いた。

「ぷはー」
 汗だくの吉田がスカートから顔を出し、息継ぎをしたタイミングで、矢吹は一旦、撮影をカットした。
「よしっ、みんな。そろそろ、アレやろう」
「アレってアレ?」
 吉田が両手で筒を作り、《も》の形に開いた口の前で前後に振った。
「そう」
 制服を着せたままの性交は、田中のアイディアだ。乳輪が半円ずつ見えるはだけ方で開いた制服。今風のミニではない、十年以上前の丈の長いスカート。その裾は膝上まで捲れ上がり、汗ばんだ太股が露わになっている。
 像の中心に居る洋子を挟み込むように、二人の男が立った。
「よーい。はい」
 洋子はまず、吉田の陰茎を舐め上げた。順番にやらないと公正さを欠くと思ったからだ。吉田、田中と来たら、次は吉田に決まっている。銜えてみて、味が違うと感じた。田中の物はゴムのようで、今口の中にある吉田の物は、鯣のような味がする。気のせいか。確かめようと逆を向くと、何時の間にかズボンと下着と白衣を脱いでいた田中が準備万端で順番を待っていた。
 塩気の無い田中の性器は、やはりゴムのようだ。きっと男は中学生ぐらいから生臭くなり、中年になって一旦匂いが無くなり、年を取るとお爺ちゃんの匂い、加齢臭を出し始めるのだろうと想像した。
 一昨日観たビデオを思い出し、洋子は交互に二つの陰茎を銜えた。片方を含んでいる間、もう片方を手で扱くのが恐らくは基本だ。そして、片方に割く時間を、少しずつ短くして行く。
 右右右右右。左左左左左。右右右右。左左左左。右右右。左左左。右右。左左。右。左。
 少しずつ両手を引き寄せ、ゴムと鯣を近付けて行く。これを歌に例えるならば、今はちょうどサビの前の、曲が盛り上がってくるあたりだ。
 左右左右左右左右左右左右左右左右
 今だ。
 洋子は思い切り口を開いて、サビを歌った。舌を高速で動かし、二つの亀頭を同時に舐めた。
 ララララララララララララララララ
 瞳を閉じて、歌詞の無い歌を熱唱した。

 紐で吊られた人形のように、腰を持ち上げて背伸びする田中の爪先を見て、矢吹は必死に笑いを堪えた。人間掃除機に吸い上げられる小男。白いポロシャツにグレーのチョッキ、雑巾色の靴下を履いた足は筋が切れそうな程ぴんと伸ばされている。マットレスの端には、几帳面に揃えられた偽革のスリッポンがある。
 矢吹は人間掃除機に近付き、その吸引口を接写した。口の端から漏れる息が、レンズを少し曇らせる。高速で動く舌が二本の亀頭を叩く音は、近くで聞くとヘリコプターの羽音のようだ。気配を感じて薄く開いた洋子の瞳は焦点がずれていて、開いた瞳孔が穴のように見えた。
 
「やべえ。俺もう我慢出来ねえよ」
 吉田は洋子の手首を掴み、股間に絡み付いた指を引き剥がした。インコースの危険球を避ける時と似た動きでヒョイと腰を引き、ユニフォーム姿の巨体を、猫背のままカメラに向ける。
「矢吹ぃ、悪りいけどもう入れちゃっていいかなぁ。このままだと出ちゃうよ。ホント」
 茶色く汚れたソックスにアシックスのスパイク。毛深い脚の付け根にある陰茎が、花形満の予告ホームランと同じ、四十五度の角度で天を指している。
 洋子を挟んで左側の脚は、漸く無理な爪先立ちの苦行から解放された。逆に若干前屈みになった田中が、激しく動くポニーテールの頭をそっと抱えながら、矢吹に向かって深く頷く。
「うん。分かった。でも吉田君、今、カメラ見ちゃったから、もう一回ちょっとだけさっきの体勢になって。そこから撮った方が後で編集し易いから」
「分かった」
 矢吹は、吉田と田中の顔がフレームから切れるサイズまで前進し、左手を挙げた。
「じゃあさっきの形になって。手で合図するから、吉田君は合図の後寝かせて、まず正常位ね。先生の方はお任せしますんで自由にやって下さい」
 二人の男優は大きく頷いた。吉田は破裂しそうな股間をそっと差し出し、田中はまた少し背伸びをする。目の前で合わさった二本の逸物に、口を開いた洋子の顔が、生暖かい吐息と共に近付いてくる。
 ララララララララララララララララ
 液晶のカウンターが二十秒分回るのを待って、矢吹は左手を斜めに振り下ろした。
 監督のサイン。
 本番だ。
 元球児はサッと腰を引き、女の肩を掴んで仰向けに寝かせた。スカートを捲り上げ、亀頭の先から滴るカウパー腺液を、雑菌だらけのマットレスで拭った。スタンスを決めてバットを握る。器具室の中。吹く筈の無い風が、ピタリと止んだ気がした。久し振りの打席。久し振りのセックス。バッターボックスのすぐ傍までカメラが近付いてきて、インパクトの瞬間を狙っている。待っている。期待している。期待されている。俺は必要とされている。吉田は、一点に狙いを定め、小指から順番に、グリップを握り直した。