仮面ブライダー
戦車で体当たりをして入り口を破壊し、店内でハッチをあけると、グレーのパンツにブラジャー仮面の男が二人現れた。
腹の出方を見ると、明白なビール腹である。
胸毛がやけにたくましいが頭はやけに涼しげである。
二人はスルメイカとホタテの缶詰めを4個ずつとり、レジに向かった。
「タダにしろ。さもないと貴様の頭を我々と同じようにかっこよくするぞ!」
若い男性店員はあまりに恐ろしい脅しに勝てず、犯罪者撃退用のボールすら手にとれないまま承諾した。
そして二人のブライダーは戦車に白バイを積んで帰宅した。
光治と久志は家にあったスルメイカとホタテの缶詰めを肴に飲みあかした。
久志が帰るときに玄関から見えたのは白バイを乗せた戦車である。
最近の警察は戦車も使うようだ。物騒な世の中と不景気と就職難を話題に玄関で愚痴をこぼしあい、今日もまた1日が暮れた。
4、美しくない1日・・・
二台のバイクが走っている。歩道を徐行している。
速度としては、子供がゆっくりしゃべりながら歩く程度の早さだ。
しかし乗っているのが明らかに尋常ではない。
顔面にブラジャーをつけ、パンツを一枚はいたきりの男が二人である。
道行く人が変質者だと叫びながら二人を避けていく。
しかし、一部逃げようとせずにスクーターで追跡してくる者がいる。
ブライダー達はそれを見たところで、意に反さず放置した。
ブライダー達は自由奔放に町を走りまわる。
「とにかく証拠だ。証拠さえあれば自衛隊の裏組織、民主主義軍が動くことができる。」
「で、何をつかめばいいと?」
「まずは、あのブラジャーの下の顔だ。ヤツらはあれをつけると強くなるからな。」
「つけていなければ、捕まえるのは安易であると?」
「そうだ。さらには、指紋、現場に残る証拠、遺留品なども全てつかめ。」
「仕方が無い。受けましょう。」
とある行政組織の権力者が探偵を使い、ブライダーの正体をあばき、ブライダーを倒すために動いたのだ。そして、探偵はこの後様々な惨劇を目にしていく。
500ccにまたがる二人のへんt・・・ブライダーは子供が歩くスピードでのろのろとバイクを転がす。
スクーターでもこれについていくのは反対の意味で困難である。
しばらく追走して探偵が見たのは、大変残酷なものであった。
「おのれ!石を投げつけてくるとはゆるせん!目にものを見せてやる!」
なんと、小さな子供に向かってバイクを向けているではないか。
子供が小さな自転車で逃げる。そのちょうど2メートル後ろから、追い続ける。
不思議な事に距離は一向に縮まらない。
「逃げろ逃げろ!俺達の怖さに怯えて逃げ続けろ!」
500ccが自転車を相手にブッブッブッブッと低音でノロノロと追いかける。
一気に捕まえるのではなく、恐怖を与えているのだ!残酷なり!ブライダー!!
逃げる子供はあまりの恐怖のためかもはや息が苦しいほどに笑っているように見える。
探偵はこれを見て頭を抱えた。
次に見つけたのはなんとブライダーがお年寄りを襲う場面であった!引ったくりの動かぬ証拠である。探偵はひたすらカメラを取り続ける!
よたよたとあるく年寄りは走って逃げる事ができない。それを知っていて、同じペースで追い続けるのだ。
老人は後ろを見向きもせずにひたすら懸命に歩き続ける。恐怖のあまり、表情を変えることすらできないのだ!
厳しい坂道にさしかかった時ブライダーは動いた!
なんと、老人そのものをひったくってしまったのだ!
坂道をブッブッブッと駆け上る。探偵は燃料がもったいないので、スクーターを手で押して追跡した。
坂道を登りきると、ブライダーは飽きたのか、老人をおろして走り去ってしまった。
探偵は懸命に追いかけた!探偵はあまりにも恐ろしい景色をみたせいで、錯覚をおこしているようだ。あろうことか、500ccよりも老人の歩く速度の方が早く見えるのだ。
どうにもこうにも頭が痛いので、探偵はバイクにまたがり、ブライダーの速度にあわせて走る。
幻覚は収まらない。タコメーターの針は2を指したままうごかない。
次に探偵が見たのは恐喝の場面である。
ブライダーはOLにいきなり声をかけたのだ。
「あのーすみまs・・」
「GYAAAAAAAAAOOOOOO!!!」
ブライダーはしりもちをついた。
股を広げてM字開脚を展開!婦女子を相手になんたる蛮行であろうか!!
探偵はこれもしっかりとカメラに収めた!
次に探偵が見たのは不法侵入である。
ブライダーは例のごとく走っていると、急に止まり、地面に落ちているものを拾った。
ピンク色のパンツである。
おそらくは女性用下着である。これは完璧に猫糞である。
ブライダーは案の定辺りを念入りに見渡している。
バイクを降りて四方八方を念入りに見渡している。
すると、おもむろに駆け出した。適当に住宅を探してきては一目散に駆け抜ける。
ドアのチャイムを鳴らし、中の人が現れるなり、まくしたてる!
「これ!落ちてました!!」
調査結果は以上である。
5、美しき鬼神、ブライダーレッド誕生
本日の話は3人目のへんt・・・勇者の物語である。
ブライダーブラック、ブルーの両名が悪名を高めている中、今日も公園で拾った新聞を見ては嘆いていた。
嘆いている男の名前は大三郎という。先日自らが開いていた診療所が閉鎖してしまったばかりである。閉鎖した理由は、スタッフのブラジャーが突然消える事件が多発したからに他ならない。
そして、院長の部屋から、大量の赤いブラジャーが発見された事による。
それでも逮捕に至らなかったのは、被害者が恥ずかしがって被害届けを出さなかったためである。
さて、大三郎は赤いブラジャーに囲まれて野宿していた。風でブラジャーの一枚が大三郎の顔面にひらりとのっかった。
すると、赤い光に包まれて今までのブライダーとは若干ちがうブライダーが誕生した。
真っ黒でキツキツのブリーフに顔面には赤いブラジャー。そして、白いコートの前止めが無いものを羽織っている。
そのまま駆け足で走るとなんと車を追い越してしまう。さらには正面衝突してくる10トントラックを受け止め、そのまま停止し、ダンパーをへし折り、10トンのトラックをなぎ倒してしまった。
今までのブライダーには無い強力な戦闘力である。
また、なきg・・・ではなく、掛け声は
「イーッ、イーッ」
ではなく、
「フォッフォッフォッフォ・・・・」
である。
しかし、手がカニのような形になっているわけではない。
そこに偶然ブルー、ブラックの二人が居合わせた。二人は相変わらず、ノソノソ歩くネコの後ろを500ccでブッブッブッブと追いまわしている。
しかし、レッドがブルー、ブラックにボンデージレザーを無理やり着せると、二人は突如凶暴になった。
3人が合流して、天を仰ぐ顔の角度で両手を広げて無作為に走り回る。
そこに、自転車でパトロールしている巡査が現れたが、余りの光景に、普通ではありえない形相で、よたよたこぎで特撮モノではお約束のズッコケを展開した。
3人は木に登って飛び周り、木をゆらしたあと、枝ががボキリと折れて3人とも転落した。
その後も3人で並んで走り回り、気がつくと、光治の家にいた。
作品名:仮面ブライダー 作家名:peacementhol