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文芸部での活動まとめ

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小さいけれど大きな変化




 ある日、いつものように自分の教室に入るとあいつの部屋に見たことのない奴がいた。
 否、そいつはまぎれもなく俺が思ってたあいつだった。
 言い訳がましいかもしれないが、小学生の頃からの幼馴染の顔を見間違えたのには少々わけがある。
「えっと……どうした、その眼鏡」
 奴の顔に見慣れぬ装飾品があったせいだ。
 俺の記憶が正しければ先週まではなかったはずの物がそいつの顔に乗っていた。
「どうしたってただの視力矯正だけど?」
 奴は俺の疑問にあっさりと答える。
 そらまあ眼鏡をかける理由なんてそれぐらいしかないのは分かってるさ。最近じゃファッション的な扱いのこともあったりするけど基本そうだろうよ。けどな。
「お前そんなに視力悪かったっけ?」
 俺の記憶にはそんなにこいつが目を細めたりとか……目が悪いですってな動作をしてたことも目が悪いこととかを愚痴ってたこともない。
「あぁ高校入ってからちょっとずつな」
 高校入ってからはお互い接点なかったし、気付かなかっただけだろっとあいつはさらっと言った。
 そういえばたしかに高校に入ってから……というか中学後半あたりからそいつとはほとんど話さなくなっていた気がする。
 特に部活が同じわけでもなかったし、家は近いが基本朝練で家を早く出る俺は登校時間がほとんど重ならなかった。
 そんな俺がこの友人の微妙な変化に気づかなかったのは当たり前なのかもしれない。むしろ今日の変化に気づいたことも偶然といえるような出来事だ。
「……そういやそうだよなー」
 俺は奴の言葉にそう返すしかできない。
「で、言いたいことはそれだけか?」
 用事がないなら席についたらどうだと言わんばかりの目でそいつは俺を見つめている。邪魔だとかうっとしい感じじゃなくて、今はそんなに親しくないからどう接すりゃいいか分かんねえって感じで。
「いや、まだある」
 知らず知らずに空いた溝。でもそれは相手が嫌いなわけではなくて。
「今日一緒に遊びに行かね?」
 気が付いたら距離が離れてたってだけのことだから。
「今日?」
「今日!」
 いつでも前のようになれるんじゃねえかと。そう思った。
 少し気取ってるかもしれないけど、たまには前見たいな馬鹿騒ぎがしたいだけなんだ。


「ところでお前、今日はテスト前日のはずなんだが」
「うっ……」
「前のテスト惨敗だったんじゃないのか?」
「……なんで知ってんだよ」
「石崎から聞いた。勉強しないとまずいと思うが」
「……えっと、図書館で勉強教えてください……」




         end

作品名:文芸部での活動まとめ 作家名:悠蓮