断片
次の日、美術室へ乗り込み、準備をしていると、1つの封筒が置いてありました。なんだろう?と封筒の中身を開けてみると、園山さんからの手紙がありました。内容は至ってシンプルでした。
>ありがとう。
>それとごめん。
私は泣き崩れました。園山さんはもう来ない。昨日のやりとりがきっと別れの言葉だったんだ。だって、それは誰が聞いても明らかでした。私は最後まで側にいてくれるってどこかで思っていた。心のどこかでは分かっていました。でも、だからこそ、あの絵は完成させないといけない。私は立ち上がり、涙を堪えながら描き続けました。この絵が他人からどう評価されようと、関係ありません。あの『星空』を描いた園山さんとの一緒の思い出。初恋とも失恋とも呼べない些細なことだけど、私はこの先、ずっと忘れず色褪せないたった一つの宝物。