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こがみ ももか
こがみ ももか
novelistID. 2182
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愛と引きこもり

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昨日。昨日の、あの瞬間に愛想、つかされたのかな。冬に冷やし中華とかもう馬鹿みたいなわがまま利いてらんないって、ななみちゃんは俺が嫌になったのかな。だから帰ってこないのかな。もう帰って来たくないのかな。
「わあああああっどおおしよおおおお! やだっ! 嫌だあああああ!! 探さないとおおお!」
嫌われたのならまだしも、いやまだしもってことは全然まったくないけど、もし事故にでもあってたら大変だ。事故事故、交通事故とか変質者とか強盗とか誘拐とか神隠しとか危ない目に合って帰って来れないのかもしれないんだもんきっと!
全力で勢い任せに、俺は部屋を飛び出した。アパートの階段を駆け下りて方向もよくわかんなくて、とりあえず本能の赴くままにまっすぐ走りまくった。なんか足の裏が痛いと思ったら靴を履いてなかった。でも戻るなんて言語道断、とにかくななみちゃん見つけないといかんし、痛いのも景色も全部いろいろ気にしてられない。
全力疾走なんて久々にしたもんで、ちょっと走っただけでぜえはあしてきた。肩で息しながら歩いた。呼吸が整うと、また走った。ななみちゃんが見つからなくて、見当たらなくて、焦る。絶対会いたいのに、絶対一緒にいたいのに。
こんなに自分が必死になる日が来るなんて思ってもみなかった。
「……雨……」
最初は、背中にぽたっとなん粒か来ただけだった。それもすぐにざあっという、本降りになった。
とたんに濡れ鼠になる。なんだかんだ言って頑張っても、体力が著しく低下してるせいでもうぐったりだ。雨に押しつぶされるかのごとく、俺は膝から崩れ落ちた。
いやだ、とてもすごくいやだ。ななみちゃんがいなくなったらどうしていいかわからない。生きていけない。いきていけない!
「心が折れる……」
冷たい。冬だし、雨だし、びしょ濡れ。人通りもない。起き抜けに飛んできたから当然傘なんて持ってない。
あうう寒いよう。人生の終わりだよう。胸中嘆きながら地面をじっと見る。もうコンクリになってしまいたい。人に踏まれる人生、いやコンクリート生でいい。ななみちゃんがいない世界なんてお先真っ暗つめたいコンクリだ。
地面についた手ががたがた震えてる。寒いのと、怖いのと。大降りの中に一人きりって、なんて怖いんだ。
「……あれ」
作品名:愛と引きこもり 作家名:こがみ ももか