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こがみ ももか
こがみ ももか
novelistID. 2182
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愛と引きこもり

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立て膝でいたのを、今度は七海を覗き込むようにしてソファの余った狭いスペースに足をかけた。背もたれに手をつき、その胸が呼吸に上下するのをどきどきしながら見つめる。洋服の下の肌。考えただけで、頭を抱えたくなる。
ほんの少しだけ開いた唇に目がとまった。二度、キスをしたときのあの幸せな気持ち。今したら、自分の中に生まれるものがそれだけではないような気が、直樹にはしていた。
どうしようもない引力だった。吸い寄せられ、直樹は七海の唇を舌先で舐めた。弱くしすぎて弾力は感じられない。全体を食むようにして挟み込んだ。少し揉んでみると、七海がうん、と小さく呻いた。
彼が寝ているなんてことは、頭からすっぽり抜けていた。
「……ななみちゃん」
続くべき言葉はかわいいか好きか、それとも綺麗か。何度も口づけていくうち、わからなくなっていく。髪を、それこそ何度も梳きながら方々にキスした。額の、髪との境。目尻と瞼。睫毛の先。頬に、鼻に、口に。欲求に従い、触れたいと思ったところに次々と及ぶ。思考がぼんやりしていく。閉じかけの唇を舌で突き、あたった歯をなぞった。無機質なそれにすら心が乱されてしまう。
貪欲になる。無心に、唇の裏側を舐めた。粘膜の腫れぼったさがいい。
「んっ、……ふあ」
不意に七海がひゅうっと息を吸った。ふうっと、目が開く。
「あ……っ、うあ……」
唇を合わせたままだった直樹が離れるより先に、強い力で突き飛ばされた。七海は跳ね起きて、口元を覆ったままどたどたと足音をたてて部屋を出て行ってしまった。
「わ、うわ……俺……」
床に張り倒されたまま、直樹は呆然とする。寝込みを、襲ってしまった。いつもはたいてい髪の毛のしなやかさを楽しむくらいだった。それなのに、今日は。
自己嫌悪でいっぱいになり、直樹は冷たいフローリングの床に突っ伏した。追いかける、なんて度胸のいることはできなかった。
自分の中の、どこかに眠っていたらしい欲。その誘惑にほだされたのが一番、ショックだった。





愛と意識


電車を乗り間違えた。慌てて乗り換えた電車も、間違えた。今度こそと思ってきちんと確認して乗った電車も、行き先が反対方向だった。三度目の正直とは名ばかりの失敗に、七海はとうとう学校をあきらめて電車の座席に身体を委ねてしまった。
作品名:愛と引きこもり 作家名:こがみ ももか