無敵最強絶対不敗伝説
しかし、隣には一人だけこれを危険視しない人物がいた。同じく16歳の透(しん)である。これより、無敵最強絶対不敗伝説が幕を開ける。
ライラ達は真っ先に騒ぎの元凶になった仁商連を叩きにかかった。仁商連に乗り込んだライラはもう有名人。
ライとアイラが止めに入った。
「ライラ、なぜ父さんたちの邪魔をする?」
ライは最近さらに開発した八気をたたきつけてライラに言う。これにたいし
「大量殺戮をする企業など、僕がつぶす。父さんたちも止めないつもりなら、僕は覚悟を決める。」
ライラの反発だ。もう16歳にもなる。パワーや若さは最高潮に達する年齢だ。
ライ、アイラが同時にライラに斬りかかった。しかし、ライラは槍を一なぎして衝撃で二人を止め、間に入って両方の手で二人の腹部に拳を宛てた。
「父さんも母さんもこれで一回死んだ。道をあけてよ。」
ライはここぞとばかりにライラの後頭部に肘うちをした。剣を握った手なので重みがある。
しかし、ライラはこれを見事にかわし、剣を抜き、ライの後ろ側からライの喉もとに剣を突きつけた。
「父さん、二回死んでいる。本当に死んでほしくはないんだけど。」
ライラの強さはもはや、最凶夫婦をも凌いでしまっている。
アイラはというと、別の人物にやはり圧倒されていた。圧倒していたのは透(しん)。
「あなたがお母さん?そのうち私はあなたの娘になります。よろしくお願いします。」
いつもの長い剣を喉元に突きつけながら言うセリフではない。
最凶夫婦が簡単に攻略され、仁商連は一気に瓦解していく。さらに立ちはだかるのは四天王だ。
先鋒はゼル。ライラは透に雑魚兵士の掃除を頼むとゼルと対峙した。
「ゼル先生も大量殺戮が世界を救うと信じているのですか?」
ライラの問いかけに、
「その殺戮や殺し合いをなくすために今は仕方が無いんだ。」
赤目の上位、死神をゼルは開眼した。
「力の違いはテクニックでフォローするよ。手加減はしないよ。ライラ。」
ライラはとっておきを用意したが、あえて修羅でもとっておきでもない、赤目で対抗した。
ゼルの拳をライラがガードすると、地面が揺れた。
ライラもゼルも軌道すら見えない打ち合いを演じている。唯一このやり取りが見えているのは透だけだ。
『ライラ、武器を持たないあなたもカッコイイ。』
見とれながら、1秒に兵士を3人倒しているという離れ業を透は見せている。
裏拳がゼルのみぞおちをズバリ直撃した。
そこから一気に畳み掛ける。0点何秒の速さで90ヒットは下らない猛撃を見せた。
ゼルがここに撃沈した……。
次の相手はチャッピーだ。空を飛んで空中から魔術の詠唱をしているあたり、言うことはかわらないのだろう。
「ツァー・リボン……」
『バァァァァッ!!』
ライラはバーの部分だけ唱えた。
すると、巨大な爆発は起きない。その代わりチャッピーが空中から猛烈な重力で落ち、地面にたたきつけられた。
「チャッピー先生、死神を開いても、修羅を開いた僕にかかればその術も無意味です。」
ライラはそれだけ一方的に述べるとその場を立ち去った。透と合流し、仁商連1790万人を恐ろしい速さで圧倒していく。
仁商連にはまだリナとルナがいる。あの二人よりも強敵だ。おそらく取って置きを使わざるを得まい。果たして遠くから巨大な衝撃波が飛んできた。透がさらりと跳ね返す。
修羅を開いている二人にはルナの豪ですら容易に跳ね返せるのだ。
数十キロ先に見えるルナは今度はめを閉じて開くと漆黒の眼球と瞳、修羅を開眼していた。
ピュンと姿を消したルナは一瞬でライラの目の前に迫った。重い一撃を槍で受け止める。
ルナはライラだけではなく、透をも警戒して二本の剣から二本の衝撃波を繰り出した。後に双子ルナ河と呼ばれるようになる。
目の力が同じでは、経験豊富なルナを攻略するのは困難だ。
ライラは漆黒の眼球に青い瞳、黄色眼系最強の魔王を開眼した。
それに習って透も魔王を開いた。
こうなると、もはや1790万の雑兵が何億いようと関係無い。1790万の中には元スカイヤ5将軍やグレンもいたが、この二人の前ではまるで意味を成さない。
そこに颯爽とリナが現れた。とはいっても閃を繰り出したまま突っ込んできているので、姿は見えない。修羅を開いているルナにすら見えないあたり、リナも修羅を開いている。
四方八方からの見えない攻撃であるが、ライラは膝を突き出すと、リナが腹部を蹴られて止まった。
やはりリナも修羅を開いていたが、ライラはなんなく片付けてしまう。
ルナもまた、透の剣裁きを見切れずに満身創痍になっていた。
仁商連は四天王と最凶夫婦の陥落を受けて完全に崩壊した。
仁商連を破った勢いでスカイヤの本国、スカイヤ城ものっとった。スカイヤ城で、らくらくホーンを応用した魔術で全世界に放送した。
「わが名はライラ。来る日も来る日も戦争にあけくれ、穏やかな暮らしが無い。僕はこの世界を破壊する。スカイヤもパンゲイヤもすべてを。異論のある者は私がいるスカイヤ城までくるがいい。何を持ち込もうが、誰を連れてこようが構わない。すべてを破壊する。」
隣で見ていた透はそんなライラの姿にも見とれていた。
演説の後、数ヶ月が過ぎ、ライラは17歳になった。透もやはり17歳になっていた。
「ライラ、このお城のキッチン大きすぎるよ。ハイ、あなたの好きなマーボースパゲティ。」
何のことはないマーボー豆腐を乗せたスパゲティだ。ライラはこのスパゲティだけは苦手なのだが、最近透(しん)の言うことには反発しづらくなっている。なぜか透と一緒に食べるとなんでもおいしく感じるので、文句を言わずに食べた。
「なぁ、透。僕はすしのイカが大好物なんだ。たまには食べさせてよ。」
ライラは程なく後悔した。顔をプックリ膨らませた透ほど怖いものは無い。
「き、きょうのスパゲティ最高だった!やっぱりあれ食べたい!ね?透っ☆」
幸い透の顔色はもとに戻った。
「じゃぁ、ライラのリクエストは明日にしたげるね。お昼あまっちゃったから、夜はミートスパゲティね。」
やはりスパゲティ……。ライラはなんとなく落胆した。
この日の夜、ライラと透はついに男女を意識していることを実感した……。
世界を破壊するという演説の後、そんな目的を忘れるほどにライラと透はホクホクな生活を送っていた。
だが、ついに反発者がスカイヤ城に現れた。
リナ、ルナ、チャッピー、ゼル、ライ、アイラの6名である。
「ライラ、お前の思想はやりすぎだ。俺たち6人総出でお前たちを止める。」
ライが切り出した。
「仁商連が無くなったせいでパンゲイヤとスカイヤは戦争し放題になったんだよ。どうやって責任取るのさ?」
リナが続く。
ライラ、透は久々に魔王を開いて6人を一瞥して言った。
「そのスカイヤとパンゲイヤも壊せばいい。」
ライラが言う。
「私は最後までライラに従うだけ。四天王でも最凶夫婦でもお相手します!」
透がさらに続けた。
2対6の頂上決戦が幕を下ろした。
ライ、アイラ、ゼルの3人がライラと透を止めにかかる。チャッピーはその間に詠唱する。
5人が入り乱れて戦う中、リナは閃を使い適切に二人を狙う。ルナはチャッピーのガード役だが、軽い衝撃波で二人を阻んでくる。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol