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無敵最強絶対不敗伝説

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「離れろ!ツァー・リボン・バー!」
スカイヤ城が跡形も無く蒸発した。全員生き残っている。ライラに至っては玉座に座ったまま身を守ったらしい。玉座の傍らに透が立つ。
「すこし話をしよう。」
ライラがパチンと指を鳴らすとリナ達6人の動きが固まった。
相変わらず魔王を開いたままだ。
「僕が壊すのはあくまでも戦争しかないこの世界。戦争を繰り返してみんなで心中するくらいなら、僕がみんな壊す。」
ライラの話はあいかわらずむちゃくちゃだ。
「私たちは大量殺戮が目的じゃないんです。世の中から戦争を消したいだけ。だから、世界最強になった私たちが世界の中心部に居座って皆殺しだと脅しながら戦争ができなくさせているんです。」
透が口ぞえをする。
「だったらおまえら、俺たちに毎日ビビリながら暮らせってのか?」
チャッピーの問いには、
「いずれ本当に実行する。今まで準備していただけだ。」
ライラは少しだけウソを言った。
その瞬間だ。チャッピーが死神を開いてツァーリボンバーを再び打ち出した。
スカイヤ城跡地が今度は谷になってしまうが、ライラも透もまったく無傷である。
「闇雲に爆発させても僕たちには効かない。チャッピー先生、無理です。」
相変わらず玉座にドカンと構えるライラは姿勢ひとつ崩さない。
「豪!」
ルナとアイラ、二人がかりの巨大衝撃波である。
「うるさいな」
ライラはその一言とともに足を組みかえる途中で足で衝撃波を出し、打ち消してしまった。
「閃!」
リナとライが二人して姿を消した。玉座ごときり刻みに来る。ライラは足を突き出し、父のライを、透はリナを止めてしまった。
四天王と最凶夫婦、どちらも打ち止めになってしまった。その様子はヤヘイ闘技場の実況が遠くから見ており、全世界に実況していた。
「じょーだんじゃない!最近闘技場を食い物にしていた二人の少年と少女がまさか四天王や最凶夫婦を倒すなんて!」
実況の魂の叫びが世界に伝わった。
ライは透を抱いて空を飛び、実況のところにやってきた。
「借りるぞ。」
マイクをぶん取ったライラは全世界に向けてメッセージを飛ばした。
「ご覧のとおり、老衰した四天王や最凶夫婦では、私を倒すことはできない。まだ反対したいものがいるならば、引き続きスカイヤ城にて待つ。しかし、私はキミらが武器を捨て、私に忠誠を誓うならば、今までに無い穏やかな生活を約束しよう。」
全世界が武器を放棄した。ライラはスカイヤ城の建て直しを命じ、自らは皇帝陛下を名乗ることにした。
「め、名目上でかまわない。皇后になってくれないか?透・・・」
ライラは真っ赤になって透(しん)に頼んだ。
透は逆に素直になって言う。

「本当になるよ。皇后に。あなたの奥さんになる。だからそんなに照れないで。それとも一生私を見て照れ続けるの?」
満身創痍のライとアイラは、こんなときだがライラがすばらしい奥さんを手に入れたことを素直に喜んだ。
「先生、父さん、母さん。僕はこうなることを望んでいた。戦争はこれで無くなる。僕は皇帝としてこの世界を笑顔に変える。これで戦争だらけの世界は壊れた。」
世界を征服した皇帝ライラ。真っ先に発令したのが、全世界の非武装化であった。
十数年かけてライラは世界を変えていった。
治安の範囲を数百のブロックに分け、ブロックごとに統治者を置く。統治者は付近住民が投票で選ぶ方式を取った。
統治者が定期的にスカイヤ城にあつまり、出来具合を報告する。
ライラはそういう形で全世界の治安をおさめていた。
ライラは現在30歳になる。ライラはさらに世界中の財産を管理する部門や、住民の生活をよく考えた政治部門を設け、各国の元文官を招いて文部省や厚生労働省などの政治部門を構築した。

 ライラが43歳の誕生日と同時に皇帝の座を降りた。君主制度の撤廃をしてみせたのだ。
世界はすべてが完全民主主義になった。
そして、皇帝の座を降りたライラは透と、わが娘、あやを連れてスカイヤを離れた。
住居は相変わらず食にはうるさい、オーシャン地方の津波市に住居を構えた。
その後ライラは剣術道場を構築。ちびっ子達に剣と精神を教え込んでいる。
透は時折講師になるが、基本的には事務を担当している。
ライラが教えるのは、四天王や両親にならった武術だけではなく、戦争を起こさない考え方をよくよく指導した。
さらにライラは副業で企業を立ち上げた。
しかし、程なく指定暴力団になってしまった。
元皇帝の権威で法人化するが、この会社の前身となった仁商連の流れは変わらない。
ひとつ違うのはむやみに戦争を起こす集団ではなくなっていたことであろう。
ライラは50歳の誕生日に国民栄誉賞を提案し、見事提案が通って、四天王および、最凶夫婦が最初の栄誉賞に輝いた。

 ライラは現在86歳である。四天王も最凶夫婦も世を去り、透とともに老後を送っている。公園で杖を置いてベンチに座っていると、竹刀をかついだ少年がやってくる。
「おじいちゃんが戦争に詳しいって聞いたよ。ねぇねぇ、戦争ってどんなの?」
ライラは答えた。
「絶対にあってはいけないものだよ。みんながみんなの為を考える世界。これが一番いい。」

子供はさらに続ける。
「戦争って人同士が殺し合いするってホント?」
ライラは渋い顔をつくり、
「ホントだよ。だからあってはいけない。」
子供はなんとなく理解に苦しみながらだが、ライラのそばを離れない。
「ねぇ、ライラおじいちゃん。本当は強いってホント?」
ライラは遠い目をして話した。
「今はぜんぜん強くなんか無い。でも今でも強いと言えばこれかな?」
取り出したのは将棋の盤と駒である。
ライラは将棋をレクチャーした。子供は目を輝かせて覚える。
ちょっと駒が見えにくい。升目も見えにくい。
それでも、まだまだ覚えたての子供に負けたりはしない。
ライラの老後は実に穏やかであった。
透が隣に座った。
「晩御飯を呼びに来たけどホネだから……」
夕焼けが幾分引いて、紺色の空の下、ライラと透は静かに座っていた。





作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol