無敵最強絶対不敗伝説
あの二人はというと……。
「ライラ!この子はライラだ!俺たちの子供だからライラしかない!」
おとこが絶叫する。
「あーあ、単純。でもいい名前だわ。」
女は呆れながらも承諾した。
「ライとアイラの子供なんだからライラ!どんな子になるんだ?」
絶叫する男こそライである。呆れているのはアイラだ。世界の情勢は緊張が続くが、そんな中こうしてのんきにしていられるのはこの最凶夫婦か四天王くらいなものであろう。最凶夫婦とは、旅の途中にいつのまにかついた、ふたりのとおり名である。
このライラこそ本策における真の主人公にして最強の戦士に成長する。誕生から6年の間にはスカイヤとパンゲイヤの対立はもちろん、仁義商会連合もリナ総長の新事業の他、ルナ会長、チャッピー組長、ゼル組長がそれぞれ新事業を興し、勢力は莫大になっていた。
この企業だけは唯一国家を相手に渡り合える企業であった。
さて、6歳になったライラは10人の少年にいじめを受けていた。10人対1人では、10人の方が勝つはずだが、ライラは木の枝一本でいじめっ子10人をあっさり撃破してしまった。しかも、その木の枝で衝撃波を打ち出すなど、年齢的にありえないが血筋を考えればあるいはそれもあるのかもしれない。
さらに、ライがおもちゃのハンマーを買い与えたところ、そのおもちゃで衝撃波を打ち出した。ライは突然過ぎて防御が間に合わずケガをしてしまった。
今度はアイラがゴムボールを買って与えた。すると、やわらかいゴムボールで大木を叩き割ってしまった。アイラはこれを見てさすがに普通の教育を施すのは困難であると考えた。
すると、また10人のいじめられっこがライラから逃げていく。
今度はモデルガンでうった弾をすべて投げ返して10人のいじめっこたちがのほうが投げじかえされた弾で負傷したようだ。ライラに一泡吹かせようという腹づもりだが、おそらく今のライラを止められるとすれば、アイラ達夫婦か四天王であろう。
このままではやたら強いだけでコミュニケーション能力がなくなってしまう。
とはいえ、自分やライが本気で相手をしたら、らいらといえども命は危ないし、そこまでの手加減は難しい。なにより六気なんかで脅してしまえばそれまでだ。ならば世界最強の師匠をお願いすればよいとアイラは考えた。
ある日ライの家の玄関で声が上がり、ノックする音が聞こえた。
「リナです。誰かいる?」
ライラがお出迎えをした。
「こんにちわライラです、ママを呼んできます。パパは病気で寝ています。いってきます。」
リナはこのしたったらずの小さな少年をかわいらしくおもった。リナはこのときすでに40歳であった。
奥から奥さんが出てくる。
「先生お久しぶりです。この子はとっても手ごわい子です。私たちではうまく指導ができないので、先生にお願いしたいのです。」
そんなに手ごわいならば実際に戦ったほうが早い。リナはそう判断してライラと手合わせすることにした。
「ライラ君、おばちゃんとチャンバラしよ?」
ライラはチャンバラは好きだが面白い相手がおらず、あまりしていなかった。その前にライの見舞いをすることにした。
「こんなときにライってばなにしてるの?」
リナがぴしゃりと言う。
「いや、息子に怪我をさせられまして・・・」
痛々しい包帯を足に巻いたライ。実に親の威厳は……ない。改めてライラを相手にリナは竹刀を構えた。
「おいで」
リナの一言でライラは動いた。
かなりの距離があるのにライラが地面を蹴ると一瞬で間をつめ、竹刀ががきぃとぶつかり合う。つばぜり合いはリナのほうが押されている。
リナは黄色眼を開いてたちまちに裁いた。
基本フォームすらできない状態でリナに黄色眼を開かせるほどのライラである。末恐ろしい子だが、やさしい子になるように道徳教育と剣術をリナが面倒を見ることにした。
「振り下ろしは雑巾をしぼるように!」
教えたのはいいが、ライラが振り下ろす瞬間は赤目を開かないと見えない。慣れない動きやぎこちなさを残すが、これでも乱取り訓練ではリナが赤目を開かないと相手にならないのだ。
なるほど、死神を開いたリナ達を超えたとはいえ、わが子を相手に六気は使えまい。手を焼くのも無理はない。
だが、幸いにして7歳になってもぐれることはなく、リナとの剣術の訓練を終えた後、やっと怪我から立ち直ったライの前で死神の上位修羅を覚醒して見せた。とっさに六気を最大にして身構えるライ。それでも、全身をなめまわすようなおどろしい殺気や殺されるビジョンが頭から離れない。
ライもアイラも黄色眼系の扱い方はわからない。そもそも目が真っ黒に染まるということは死神でもないようだ。ライ、アイラはそれぞれの師匠に電話した。
「ルナ先生、私達の子供が先生達の死神みたいな目になっています。でも、先生達の目よりも怖い目です。私たちでは手に負えないので、来てくれませんか?」
「リナ先生!我々の子が黄色眼系の恐ろしいのを開眼したみたいで、いますぐ先生の力を貸してほしいのです!」
リナはきびすを返してライの家に、ルナはやや離れた位置からであるが急行した。
リナ、ルナは走りながらも電話でチャッピーとゼルを呼び出した。
四天王が久しぶりに集結することになる。
「パパ?ママ?僕悪いことしたの??」
ライラは何もしていないが、おそらく凡人なら目が合っただけで気を失うであろう。最凶夫婦、四天王の6人がかりで対処を試みた。
「こいつぁ、修羅だな。リナの死神でも太刀打ちできねぇほど強烈だ。おめーらよく、耐えたな。」
チャッピーが二人に言う。ルナはとりあえず目を落ち着かせるようにレクチャーを始めた。
「目を閉じて。リラックスリラックス。うんいい子ね。」
ライラの頭をなでながらルナがあやすように落ち着かせる。
それでも目がオレンジ色になっている。赤目になりかけの黄色眼だ。
「リナ、こんなすごい子に剣術教えてたの?」
ルナが問いかけると、
「いや、ボクもこんなのははじめてだよ。死神でにらみつけて負けたことなんてはじめてだもん・・・。」
ライラはいくらか落ち着きを取り戻し、目は黄色眼のままだ。
「ねえねえ、遊びたい!」
ライラが無邪気に言う。これにはゼルが応じることにした。
「僕と組み手だよ。剣を落としちゃったときの戦い方はリナにもならってないだろ?」
ゼルがこぶしをもう片方の手のひらにパチンとうちながら応じる。
念のために赤目を開いておいた。
果たして用心するものである。ライラは黄色眼のままにもかかわらず赤目のゼルと渡りあっている。格闘術を知らないゆえに読めない行動があるというわけではない。
ライラの黄色眼は強すぎるのだ。赤目になればゼルは負けるかもしれない。いい大人、しかも世界的に有名な四天王が子供に負けたのでは格好がつかない。ゼルはおふざけのフリをして戦いを中止した。
さて世界の情勢はあまり芳しく無い。スカイヤとパンゲイヤが小競り合いを起こした。戦場はオーシャン地区の南側である。南北に真っ二つにわかれたのでお互いに攻める先は決まってくるのだ。
とある企業がこの小競り合いを受けて、スカイヤとパンゲイヤに損害賠償を請求し、半分脅してだが、損害賠償をせしめた。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol