無敵最強絶対不敗伝説
ライが気合いを集中し、剣を振りぬくと今までに無いほどの衝撃波がでるが、的に当たる程度で破壊力が一歩足りない。
アイラが横なぎに大きく振るっても強い風が辺り一帯を扇ぐだけである。
まずはこれを混ぜ合わせることにした。アイラの強風にライの衝撃波を乗せる。するとどうか、的がついにすべて同時に粉々になった。
たった一回、二人がわずかな時間で考え出して早速結果が期待以上に現れた。さらに、集中攻撃のコンビネーションやお互いを守るコンビネーションも瞬く間に終わらせた。
「なんか俺らはすごいな。」
ライは無意識に言ってしまう。
「タイプが全然違うのに不思議。」
アイラもこれには驚いていたようだ。
二人のコンビネーションは極めて短時間のうちに洗練され、技の複合や組み合わせ、攻守を兼ねたコンビネーションも固めたのだった。ライ、アイラはリナ、ルナに二戦目を申し込んだ。
やはりリナ達は黄色眼を開けて構えてきた。かなり迫力が強く、赤目にも近いような恐ろしさがある。
まずはライが二人に飛びかかった。リナを力でいったん牽制したあとルナには目にも止まらぬ速さと手数でルナを押さえこんだ。リナはこのときライを見てはいなかった。
「ルナ!」
この一声でルナはすべてを悟る。アイラが溜めに溜めた力を解放するように、衝撃波を打ち出した。
ライはよけようともせずルナを捕まえた。
「ライ!死ぬ気!?」
ルナやライでもこんなものを食らえばひとたまりもない。だが、巨大な衝撃波は容赦なくせまる。
衝撃波はルナを確かに捉えたが、ライはその衝撃波の上に乗っかってしまった。
ルナは打撃系の衝撃波を受けたので無傷だが、いくらかたたらを踏む。
リナは攻撃のあとの硬直から立ち直るアイラの一瞬を見逃さなかった。今のアイラは自分の攻撃を相殺ではなく、圧倒してくるだろう。もはやアイラの単発の攻撃力はルナをも凌駕している。リナは直接アイラを叩くことにした。
しかし、アイラは大きくなぎ払ってはリナを近づけさせず、背後に回ったライがリナを攻撃した。ルナはまだダメージが抜けきらない。
リナは背後からの攻撃を見切れず、一本を許してしまった。
今1対2で戦って勝てるほど、ライとアイラは弱くない。ルナもまた降参した。
とうとう、ライとアイラは四天王のうち2名を越えたのだった。だか、ここに来て待ったが入る。二人に待ったをかけたのは死神を開けたリナである。ルナも死神を開けてこちらを見据える。
「これは単にボクたちがやってみたいだけ。」
いつものトーンで語るリナだが、にじみ出る気迫がまるで違う。あんなに強いリナが、こんなにも本気というのは、目をあわせる事すら恐れ多く思う。ライ、アイラは壁の大きさをとにかく強く驚嘆するばかりである。
連戦になるが、ダメージはあちらの方が大きい。ここでこの二人を倒せたなら、ライもアイラも四天王を越えたといえよう。黄色眼の時とはもはやなにもかも違う死神の眼力は見られるだけでも全身に痛みがはしる。
武器を持つ腕がやけに重い。それでいて、リナもルナもたった一瞬で自分達を引き裂いてしまうような雰囲気である。
「閃!!」
リナが消えた。いや、消えたように見えるが、影が猛スピードで動き回っているのが見える。
いつか見た時のように直感だけではない。確かに見えている。ライは剣を両手で構えて力強くリナを押し返す。剣が削れてしまうが、なんとかリナを止めた。リナは再びすぐに消えるようにみえるが、後方に離れていく。それとすれ違うように巨大な衝撃波が見える。
おそらく、ライ、アイラの二人がかりで止めようとしても簡単に吹き飛ばされるであろう。
ライ、アイラは左右にかわし、一気にルナに迫る。アイラの実に重い一撃をルナは簡単に受け止めては裁く。ライの攻撃など簡単に弾いてしまう。二人は立て直しながら距離を取ると、ライは振り向きざまにリナを警戒。案の定、リナはやや鈍いアイラを狙う。ライの衝撃波に気がついてリナは足を止める。アイラはそんなやりとりを見ずにルナに切りかかる。死神の力を使うルナと対等に切り結んでいく。ライもまた死神を駆使したリナを相手に引くことなく、善戦している。
リナの閃が出ても確かに打ち返すあたりライはリナを越えているのだろうか?
アイラもまたルナを相手に押し気味になっている。ルナの早くとも重圧の強い攻撃をパワーで対抗し、押し切っていく。
アイラの槍はついにルナを捕らえた。穂先を強く打ち据えてルナの剣を押さえこみ、足で腹部を蹴り上げて、ルナが前屈みになったところに穂先をルナの額にかざした。ルナが負けを認めると、そのまま振りかざしてライ達が切り結ぶ方向に振り下ろす。巨大な衝撃波がリナをめがけていく。ライはそれの気配だけでとっさにリナを固めた。リナはその直後に身に迫る危機を感じとったが、完全にライ
に自由を奪われて直撃した。
ついにリナ、ルナの本気の強さをも越えた瞬間だった。
リナ、ルナの強さを越えたライ、アイラは2人で旅に出た。
世界中を回って様々な街に立ち寄っては己の力を試すべく、武道会に参加する。
しかし決勝ではほとんどライとアイラの戦いになり、大抵ジャンケンで勝った方が勝ってにルールを定めて勝負する形式である。
無論、自分に有利な条件で戦う。時々決勝前にぶつかるにしても、ほとんど本気を出さずにやりあう。何よりお互いにぶつかったところでどちらも本気が出せなくなっていた。
さて、武術家の集まる最高峰のリング、ヤヘイ闘技場である。ライとアイラのタッグによる勝ち抜きだが、ライ達は最も厳しい条件の試合に出た。100チームを撃破して、日本円にして2000万円という大きな試合である。試合開始から10分。70チーム目のあたりである。
「アイラっ!」
「ライっ」
大量の衝撃波と巨大な衝撃波が両者の間でぶつかりあう。それ以上に凄絶なのは、その間におかれる2人だ。
それからさらに10分かけて最後の100チーム目になった。ヤヘイ闘技場で負け知らずのコンビらしい。
相手が2人でこちらに襲い来るがアイラが槍を地面に叩きつければ振動で相手がこける。なおも切りかかるとライに上着を刻まれて裸にされた。
ヤヘイ闘技場の最難関もこの2人にかかれば遊びにすらならない。だが、優勝の賞品はペアリングであった。二人は少々赤面しながら、指輪を受け取った。
その日の夜、宿で二人は自分の指に指輪をはめた。奇しくも大きさはジャストフィットである。
チボーンでは魔術の研究が盛んである。魔術といっても、六気のうちのいずれかを具現化して打ち放つものである。
チャッピーほどの使い手はめったにいないが、ライ達に取っては魔術は初めてのものだ。
チボーン軍の演習に参加することにした。
まずは六気のうち覇気を炎に変える方法から。六気を同時に打ち出したライとアイラは最初から禁呪文である、ツァー・リボン・バーを打ち出してしまった。爆発の規模こそ微々たるものだが、講師に見いだされてしまった。
逃げるように、チボーンをあとにすると次はオーシャンに向かった。オーシャンはリナの故郷と聞いた。だがオーシャンには特に腕自慢がいるわけでもない。とりあえず食事をするため、パスタ専門店をたずねた。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol