無敵最強絶対不敗伝説
ライは衝撃波を早速飛ばした。大将は冷静に同じぐらいの衝撃波をぶつけて防御する。
ライはすばやく切りかかり、猛烈にきりつけた。中将はそれらをよく受け、確かに裁いていく。ときおり、切り替えしてはライをひやりとさせる。なるほど、本戦出場から何歩も一気に成長しているようである。
ライは距離をとり、六気を放出した。
中将はなんと黄色眼で対抗して来た。
今まで黄色眼抜きでここまで勝ち上がってきたのだ。
「その強さ、黄色眼…グレンという男の名を聞いた事があるが?」
ライはなんとなく気になったのでたずねた。
「その名前はやめてください。黄色眼におぼれた間抜けな男の死んだ名前です。」
グレンはリナを逃がした後、付近住民に救出されて、黄色眼におぼれていた自らを恥じて、黄色眼を使わずに、軍隊で功績を上げると、
そうすることで、黄色眼を今まで以上に活かしてやれるし、リナに追いつけるかもしれないと考えていた。リナが黄色眼に目覚め、有名になっても追いかけず、スカイヤで黙々と己を磨いていた。
「黄色眼を使った貴殿を倒せれば俺は本当の意味でスカイヤのトップになれるというわけだな。」
六気をさらに強くしてライは言う。
六気と黄色眼の戦いが今幕をあけた。
グレンの衝撃波が津波のように押し迫る。
ライはまた地面をたたきつけて、まとめてかき消す。接近戦はすれ違うようにお互いの位置が変わるが、竹刀は両者ともひどくささくれてしまっている。剣道と格闘技をあわせた大会なので、徒手空拳による戦いも認められている。ライは六気を手のひらに集中して掌底による攻撃を繰り出す。黄色眼で肉体能力が上がっている分、グレンに分がある。
グレンの攻撃を見切るのは、防御系の六気で、グレンの黄色眼をかいくぐって攻撃できるのは攻撃系の六気である。結局の所、現在はライが優勢になっている。六気を込めた掌底は触るだけでも相手にダメージをあたえる。
グレンは全身を躍動させ、衝撃波を嵐の如く繰り出していく。その動きにリンクするように、ライはそれらをかわし、弾く。ライはグレンの攻撃をさばきながら、素手で打ちつける衝撃波を真似することにした。これができねば、ジリ貧で追い込まれてしまう。
ライは六気の他に通常の衝撃波と同じように拳に力を込めた。正拳で打ち出すと、グレンの衝撃波を砕きながらグレンに向かっていく。
グレンの腹部に直撃し、グレンが膝をつく。次の瞬間にライは詰め寄った。グレンの額に六気を込めて光る拳が構えている。グレンはこれにてギブアップになった。
ライの優勝がここに決定した。
優勝商品は、勇者の弁当と名打たれたキムチスパゲティだった。
ライはスカイヤがあるいみ病んでいることは大将として少し頭がいたかった。
グレンは妹が好きだからと言う理由でライがいらないと譲った1年分を大喜びで持って言ってしまった。
さて、グレン含む国内会議で皇帝自ら悲惨な報告をうけた。
「わが国は今全ての国との同盟が切れ、なおかつ、4国がわが国をめぐって争いを起こそうとしている。わが国は4国と戦いスカイヤを守るべきか。はたまた、4国の下で中立を図るか?諸氏の見解を述べよ。」
このとき21歳になるライは、自分とグレン、5将もいるのだから、問題ないと考えていた。なおかつ、元海賊のリナや、フリーランスのマウントの英雄もいる。ライが最初に口を開いた。
「我が軍は、決して戦力的に劣っているわけではありません。5大将やグレンもいるのだから、これだけでも十分にやりあえます。加えて、元海賊のリナ、現在フリーのマウントの英雄を高い報酬で呼び込めればさらに戦いは楽になります。何もせずに屈することはありません。」
グレンが続けていう。
「リナは私が呼んで来ます。リナがいれば世界が救われるのです!」
「はいはい、グレンはリナ担当。陛下、あきらめてはなりません。」
ライは慣れたように続ける。
グレンがリナの話しになったときだけバカになるのは、周知の事実である。
文官達は降伏するべきだと主張した。理由は簡単だ。住民命である。実際スカイヤ国の行政官は全員背中に”国民命”と刺繍した服を着用している。ライやグレンが着ているのは”国民死守”である。
結果としてスカイヤは全面降伏になった。スカイヤが世界を敵に戦争をする場合何をしても被害を受けるのは国民である。ライがグレンが暴れて解決するのは当然として、敵味方の被害を考えればおとなしくするべきである。
スカイヤは自治区として世界の架け橋になる事に落ち着いた。国家は名乗らなくても住民にとって最善の選択をするのが皇帝である。
最後の仕事を終えた皇帝は引退、4国の話し合いの議長としてスカイ会議議長に就任したのだった。
第一次スカイ会議の論点はやはりスカイヤ区域の統治権をめぐっての議論になった。議長の護衛はライとグレンの二人である。
「我がマウントがスカイヤ区域を治める事が世界のバランスを保ち、平和を得るであろう。」
「マウントが治めれば、スカイヤを足場に3国のどこかに目をつけるであろう。戦争の意思がない我らチボーンがスカイヤに新たなる科学を持って発展を得るべきだ。」
「我らオーシャンが治めればスカイヤを中心に世界中にわが国の誇る食料が供給できる。」
「ヤヘイの属国になってこそ、世界は健康な肉体を得る。」
どこの国も譲らない。当然だ。世界の中心部のスカイヤは4国に囲まれているからこそおとなしかっただけで、その気になれば4国を一手にたたける位置である。4国のうちいずれかが取りたいのは山々だが、ヘタに手を出せば他国の介入があるために手が出せなかったに過ぎない。
「このスカイヤは今や世界の中立都市。4国が取り合う必要はない。中立として武器を捨て、4国に平等に橋渡しをすることで納得は行かないだろうか?」
議長の提案だが、誰も呑まない。いずれも、世界を制圧する腹積もりである。
結局会議は破綻した。戦争は余儀なくされていた。ライの意見が正しいと気がついた時にはすでに手遅れだった。
さて、場所はいったん変わり、時間も4年ほどさかのぼる。スカイヤでは武道大会が開催されていた。このたびの主人公アイラは年齢的な問題で出場はできなかったが、出場したら大切な槍で優勝しようと考えていた。
ライという軍隊の偉い人が強く、他の選手が弱く見える。だが決して弱いわけではない。ライと言う男が強すぎるのだ。
だが、準決勝で怖いおじいさんを倒したカッコいい戦士もかなりできるだろう。
決勝は結果がわからなかった。結果はライの勝利。負けた男の黄色眼は、なにか迫力を感じた。アイラは12歳にして六気を持っていた。六気のうちの覇気がアンバランスに大きな槍を振り回す原動力になる。
この会場にいる誰もが、同じ場所に六気使いが二人も同席していたことに気づく余地もなかった。
アイラは、父が使っていた槍をイタズラで触っていたが、ある日しっかりと持って使いこなすようになった。アイラの身体に合ったサイズの槍を持たせようとしたが、アイラは拒み、巨大な槍を愛用するようになった。
アイラは父の真似をしてグルグルまわすと、竜巻が発生した。地面にたたき着けると地面が割れた。現在、アイラは道場のホープである。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol