無敵最強絶対不敗伝説
ゼルもそれを一瞬で見破っており、確実に入っているのに、弾かれているのがわかる。
「チボーンは魔法が得意というけど、そのぶよぶよしているのも、魔法なのかい?」
「ぶよぶよ?おめーは、銃弾みてぇなパンチしてたのかよ?へぇ〜」
余裕をかます、チャッピーだが、内心は舌をまいている。どう頑張っても、全力で殴れば、拳の方がつぶれるはずで、バリアの弾力などわかるはずがないのだ。そもそも、このバリアをはっているうちは思うように動けない。実質チャッピーはゼルに釘付けにされている。
リナとルナは、いつかの戦争と同じように技の応酬をする。闘技場で強化した、厚さ50センチの鉄の壁を衝撃波で削っていく。技の応酬は、体力の無駄と、感じた二人は距離を開ける。
「私も強くなったつもりだけど、やっぱりあなたは強いわね。いいものを見せてあげるわ。」
ルナはすたすたと歩く。リナとすれ違う瞬間、一瞬だけ死神をあけて、リナの剣に自分の剣をぶつけた。リナの剣がバラバラになった。
「ルナらしい技だね。じゃぁボクも見せてあげるよ。」
とはいえ、ルナはすでに見ている。リナの剣は、カチンと言う間に、自分のもう片方の剣を1000回刺した。ルナの剣もバラバラになる。お互いに残った一本で、技をぶつけ合うと・・・
この世のものとは思えない音が聞こえた。二人の間で炸裂が生じ、お互いの剣が溶けてしまっている。
二人の死神は、二重のスクリーン越しでも、見るものを圧倒した。その衝撃が、打ち合いのゼルとチャッピーにも向かう。
「チッ、ケリカンよぉ、こいつぁ試合中止だ。特注の壁が跡形もねぇよ。二人分とはいえ、俺のバリアが破られるくらいだからな。」
衝撃は、闘技場を木っ端微塵に粉砕した。チャッピーの特殊なバリアがなければ、消し飛んでいただろう。それですら、ゼルもチャッピーも傷だらけだ。
誰もがこんな戦いを見たことはない。だが、闘技場の実況だけは生きていた。
「こ、・・・こんなアホな闘いがあるかっ!変な赤目の二人の少女に闘技場が破壊されたぁ〜っ」
ヤヘイのテレビ局が急いでニュース番組に切り替える。全てのカメラが故障したのだ。
世界最強の四人組がここに現れたのだ。
リナは27歳になった。この間、ずっと4人で行動していた。この間に、リナとチャッピー、ゼルとルナの組み合わせで世界を漫遊していた。
リナはチャッピーといい加減仲良くなっていた。
「チャッピー♪ボクを見て・・・」
子供っぽいくせに、色目を使おうとするリナだが、チャッピーは冷たく言う。
「で、俺がおまえのめん玉見たら死神するんだろ?」
「あー、ずるい〜。ボクのこと疑ってる。チャッピーのバカ。」
何のことはない、宿でチャッピーを起こすときも、いい雰囲気のときも平然といきなり死神を開けてちくりとやるのが、リナ流の愛情表現なのだ。
今度はリナが目をつぶって、チャッピーに迫る。チャッピーはこれが一番苦手だ。
引き寄せられていくと・・・抱きつかれた。頭をすーっとなぞられる。朝でも、人前でも、どこでもやるから手に負えない。
そんな二人が、スカイヤのとある地区の新島の事務所で、まじめに花屋の経営を話し合っていると、組員が飛び込んできた。
「スカイヤ国がつぶれますたい!!」
組員の冗談かとも思ったが、会議の後にブチックホテルなる、宿に立ち寄ったときに買って来た。
新聞を見ると、スカイヤは全面降伏宣言をしたとある。記者の記述には、これでスカイヤの土地をめぐって4カ国の総当たり戦が、予想されると書いてある。
チャッピーは即座に考えた。闘技場を破壊した4人全員が4カ国にちらばり、戦力のバランスを取る。スカイヤの地でにらみ合ったところに四人が出る。あとは四人で、全軍をつぶす。もちろん命はとらない。自分たちがいるかぎり、戦争を許さないということを世界に示すのである。
リナが大変涼しい格好で、チャッピーの膝によだれを垂れ流して寝ているところに、チャッピーはラクラクホーンを使った。
リナがむっくり起き上がってチャッピーに抱きつくが、ゆっくりリナを引き離して先の作戦と、実際の情報とを説明した。リナは離れたくないといいつつも、オーシャンに行くことになった。チャッピーはチボーンに向かう。
外はまだ暗い。リナとチャッピーは、これを最後にしばらくは訪れない機会を、十分に満喫した。
ルナは途中ガーデニングショップをしているときに、アイラと名乗る少女に会っていた。子供ながらに槍を構えるが、いかんせん大きすぎる。少女が持つには重過ぎる。ゼルは武器を持つこと自体が邪道だと言うが、ゼルはこの店ではただの掃除屋にすぎないので無視された。
少女はどうしても、自分の道場に花を添えるのだと、ルナのガーデニングショップに立ち寄ったのだ。店長と腕試しをすれば無料になるという張り紙を見てやってきた。
店長は負けてしまった。ルナは興味を持った。あの重たい槍でどうやって店長を倒したのか?
一応黄色眼に驚かない程度の耐性はつけているが・・・。アイラのこれからは、後にしっかり語られる。
ラクラクホーンが、届いた。スカイヤが、4国同盟によって、降服を強いられたという。
これは重大である。スカイヤが消滅したということは、領土を狙って4国が入り乱れて戦うことになる。
ルナは、ゼルと抱き合った。
「私はマウント、あなたはヤヘイ。今はもう、お互いに戦力を均衡にして、ぎりぎりで全部を消すしかなくなったわ。あなたと戦いたくない。」
これにたいして、ゼルはたくましく言う。
「僕より強いくせにずるいよ。大丈夫。どんなに激しい戦争でも、君だけは守るよ。裏切り者にだってなってやるさ。君のためだから。」
そっと、顔だけ重ねあってお互いに、地元に向かった。
オーシャン軍、総勢300万人。マウント国総勢250万人、チボーン共和国総勢400万人、ヤヘイ180万人がスカイヤに集結した。それぞれの国がそれぞれに主張しあう。
「わがオーシャンには、世界を恐怖に陥れし海賊にして、伝説の戦争請負人リナを擁している。貴様らに勝ち目はない!」
「わがマウントには生ける伝説ルナがいる。ルナは新たな力をやどしており、世界を滅することも不可能ではない。世界を滅する、すなわち、ここにいる全ての敵をいっそうできるのだ!」
「当チボーンが誇る、頭脳チャッピーの力をみよや。赤目の魔法攻撃は、貴様らのような野蛮人をきれいに洗い流すであろう。
われらの魔法があれば、貴様ら蛮族恐れるにいたらず!」
「我らヤヘイの最強集団は筆頭にゼルがいる。ゼルは先の戦でマウントを一瞬で滅ぼした。世界最強の戦士である。伝説云々ごときが最強たるヤヘイの最強の戦士にかなうものか。」
スカイヤの陸に800万、残り330万が海軍である。オーシャンの300万人は全軍海兵なので、海で静観して、3国が弱ったところに上陸するというプランのようだ。
そうはさせじと、チボーンの魔術部隊がオーシャン艦隊に猛攻をけしかける。
火の玉や氷の雨といった攻撃だが、ここはリナが抑え込む。リナは赤目を開いて、剣を一薙ぎすると、衝撃波が実に100発も現れた。次々とチボーンの魔術隊が吹き飛んでいく。リナの攻撃は一薙ぎで100発だから、猛烈に剣を振り回せば、その破壊力は凄まじい。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol