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無敵最強絶対不敗伝説

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「・・・なんてこった・・・。体力消費が激しいってところまで本当とは・・・。剣聖ムサシのジョークはジョークじゃねぇってこった。・・・かの者に大地の力を!」
チャッピーの使う体力回復の魔術である。赤目で使うと、落命寸前から、絶命直後の常態から蘇生も可能だ。リナはすんなり目を覚ました。
今は、普通の目でこちらを見ている。瞬きすると黄色眼、もういちどで赤目、次は・・・死神だ。
「いてぇっ!つか人のほくろ見てんじゃねぇ!」
次はまた普通の目に戻っている。なるほど、見られた人間は強力な恐怖とともに直視されている箇所に痛みを感じるらしい。
「そろそろこたえてくれねぇか?おめーが海賊やってる理由をよ。」
チャッピーがたずねると、
「あなたが言うとおり、ボクは海賊で国を敵に回しながら、戦争ができないように芽を摘んでいた。ヤヘイに信じられない人がいるのは知らなかったけど、ボクは次はマウントを狙うつもりだった。」
だからこそ、マウントの海岸、ヤヘイ方面に船がある。
「俺はよ、マウントの軍師やってんだ。俺のプランでは、マウントを操れば世界は一つになる。・・・はずだったんだが、ヤヘイの野郎が邪魔しやがってご破算だ。だが、俺は世界征服して無理やり戦争を無くすつもりだった。とりあえず、ヤヘイの邪魔をぶっ潰す。それから、世界征服をするんだ。おめーはもう海賊なんてやめて、仁商連にもどれよ。ルナの持ってる軍事力なら、適当に国をぶんどってそっからどうにかできる。」
たしかに、リナも海を渡って、一番強い国を叩いているだけでは戦争の完全な沈静は難しいと思い始めていた。そして、赤目を使うゼルという人物が気になる。藤田に命令して、一路ヤヘイに向かった。リナは海にイタズラを施した。
「ボクの財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せぇ〜」
どこかの海賊王みたいなセリフを残して海賊を辞めた。もはやどこの海に行ってもリナの傘下だったが一気にリナの手を離れたために一斉に独立してしまった。
「おい、この船以外の海賊達は独立しちまったみたいだぞ?」
ヤヘイの宿で、キムチバーガーを食べながら、チャッピーが言う。
「大丈夫。海にはボクより強いのはいないし、藤田が頑張ってるから、荒れないと思う。」
キムチスパゲティを箸ですすりながら、リナが言う。
リナが言うならまぁいいだろう。チャッピーはマウントに落落ホーンを使った。リナと合流成功、ゼル討伐に乗り出すという連絡を飛ばした。明日、闘技場に乗り込むが、これから戦うであろうゼルとは何者であろうか?マウントをたった一人でねじ伏せる男のプロローグがこれから語られる。

 1年さかのぼる。ゼルは生活費がそこをついていた。いつもどおりに闘技場に向かう。
1回戦目の参加は無料、2回戦目は一回戦で得た賞金を全額払って出場する。勝った数だけ、報酬が入る仕組みだ。ゼルは、迷うことなく、最上級のランクに署名した。仮面をかぶり、0と書いた。
ゼルと書けば直ちに出場を断られてしまう。
一回戦は、ヤヘイの名門道場の師範である。が、ゼルはその場から一歩も動かずに、拳をちょいと前に出して叩き伏せた。何のことはない。相手の襲ってくる力の全てを拳一点に集中して返しただけである。
二回戦は、闘技場の元チャンプ。柔道をベースにした、格闘術で、投げ技を繰り出す。
突進してこないあたりやりにくいが、伸ばした手が、自らの左腕を捕まえて引きずり込んで足をかけるというのを物語っていた。そのためには、いったん止まらねばならない。こちらが前に出ようとすると、その力をそのまま流される。
左足を放り出した。つま先が相手の膝の関節を直撃する。そのまま相手は倒れこんでしまった。
三回戦、これに勝てば最高額が手に入る。果たして相手は、闘技場のチンピラである。
ちょっと強いからとチャンピオンの特別手当で食事をしている。
3回連続優勝で、チャンピオンとして、毎回三回戦目に出場となり、負けても二回戦を勝ち抜いた金額をもらえる。だが、ゼルが何度も倒したチンピラなので、スタイルはわかっている。ボクシングベースで、けん制ジャブ2発の後のストレートがお約束だ。ゼルの読みどおり、目の前をかすめるジャブを二発、ストレートが飛んでくるが、今回は、つかんで一本背負いを放つことにした。
同じ勝ち方をすると、名前がばれてしまう。
あっさり優勝したゼルはしばらく、荒稼ぎするため、不動明王ゼロと名乗ることにした。
自分からは動かず、一歩も動かずに相手を叩き伏せるところからちょうどいい名前だと思った。
だが、会場アナウンスはひどいものだった。
「仮面のイカサマ戦士ゼロの登場だ!常にどこかにわなを仕掛けて、自分は何もせずにのうのうとかったつもりでいる!さぁ!このイカサマあんちゃんをぶちのめすのは誰だーっ!」
冗談ではない。相手が間抜けなだけだ。
「もうちょっと苦しんだフリをしないと怪しまれるぞ。難しいぞ。でもがんばるぞ!」
シード権で、3回戦に勝ち進んできたのは、棍棒を使う中年の男だった。
「今はゼロか・・・紛らわしいな。少しは加減してくれよ?」
この男には仮面の下がわかっているらしい。仮面のしたから、片目を閉じて、片方の目だけで赤目を使う。一つの目で一人だけを見る場合、赤目の力は分散されない。両方の目で立体的に世界を見る中の一つを見るから、威力は抜群だが、それだと、力がもれてしまう。とどのつまり、ゼルの正体がばれてしまうのだ。棍棒の男がひるむ。ゼルはゆっくりと走って、気の抜けたパンチを当てる。
男は、何メートルか転がって気絶する。パフォーマンスとして、男を持ち上げ、くるくると回ってみせる。勝っているのだからこれ以上いたぶっては格闘技の精神に反するので、そっと寝かせるとその場を後にした。それでも鋭いものはなんとなく気がついているようだ。
「あの仮面野郎・・・この前にいた、めちゃくちゃ強い黄色眼コンビみたいな戦い方だな。黄色眼ごときじゃひるむやつはいないから、おそらく・・・」
「まさか赤目がそうそういてたまるもんかい。あの仮面はやっぱりインチキしてるのさ。インチキを打ち破る正統派勇者の登場を待つってのが、今の闘技場の暗黙のルールってもんだぜ。」
まるでプロレスだ。プロレスもある程度物語性を出すため、仲のいい選手が対立してみたりする。
残念ながら今のこの覆面ゼルを倒せるものはいない。
闘技場もこのでたらめな強さをインチキという設定で通してきたものの、戦いが面白くない。
一口10円のトトくじにおいても、ゼロの倍率は1.0倍。勝負にならないという胴元の悲鳴である。
ゼロの倍率をせめて1.1にできるよう、チャンピオンのトライロードなる、企画を立ち上げた。
徒手空拳のゼロに対し、武器を使用可能にすることと、団体戦チーム、タッグチームも全てがそのままゼロと対決可能という条件で、ゼロに10連戦をさせる。ゼロの10連勝の倍率は5.0と定められた。
ゼロにこの企画を闘技場は提示した。ゼロは仮面を取った。
「お客さんの前でも同じようにさせてもらうよ。さすがにハンデマッチを10連戦じゃぁ僕だってきつい。こういう試合を待ってたんだ。」
ゼルは仮面を取ってリングに上った。

作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol