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無敵最強絶対不敗伝説

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さて、望遠鏡をのぞけばそろそろ敵の軍艦が・・・いない。チボーンは病弱な連中ばかりだから、科学の力をより強く見せ占める海上での戦いになるはずだ。そうじゃなければ、チボーンは上陸して地上戦をせざるを得ない。マウントの准将は、チボーンの戦力では海上しか自分たちを叩く手段が無いはずだから、
わざわざ海上八卦陣を考案したのだ。なのになぜチボーンは船を使ってこないのか・・・。
准将が怪訝そうにしていると、後方から津波が押し寄せてくる。まるまる飲まれるだろう。自動ガードシステムが悲鳴をあげる。「津波警報。距離200メーt・・・」あっさり飲まれてしまった。船がほとんど大破し、生き残る船もあるが、ほとんどが泳ぎによる上陸になってしまった。陸はまだ遠い。
だが、今度は渦潮になってしまう。スカイヤから観測する海上保安の職員は口をそろえて、海の状態がもっとも穏やかな日を提唱したが、いきなりの大荒れである。空から一人の男がゆっくり降ってきた。
「ようこそ、マウントの諸君。チボーンの海水浴はスリリングだろう?ああん?」
嫌味たっぷりのチボーンの頭脳にして最強の男、チャッピーである。
「この赤目でおめーらの八卦陣を見た。俺達が切った張ったが苦手だから、舟同士でぶつかり合う作戦を立てるとおめーらは踏んだわけだ。そこで、俺達はもうひとつの自慢である魔法を使うことにしたのさ。ビッグウェーブに渦潮はたのしんでくれてるか?」
仕組まれた。完全に兵士達は戦えなくなっている。チャッピーは指でくいと自分のほうに何かを寄せる仕草を取った。小刻みな早い波がマウント軍を押し流し、どんどんチボーンの陸に引き寄せていく。
チャッピーが杖を一振りすれば、全員がバリアに包まれて、溺れる者も出ない。
全員かろうじて命を持ったまま岸辺に押し流されてきたが、動けない兵士を拘束するぐらいなら、白兵戦に不慣れのチボーン軍でもできる。
さらにチャッピーは傷ついたマウント軍を回復魔法で一気に回復。拘束も、軟禁に切り替えて、食事と酒でマウント軍を出迎えてしまった。
チボーンの大将はいい顔をしない。チャッピーは呪文を唱えた。
「遥かかなたにわが意思を届けよ!落々ホーン!」
これは、チボーンが生み出した通信魔法だが、使いこなせるのはチャッピーだけだ。素人が使うと、伝えたい言葉が、魔法が届く範囲全ての生き物に伝わってしまう。研究者の一人が実験で使ったら、外に出たとたん、熊に襲われたそうだ。
襲われるといっても、怪我をさせられるとかではなく、連れ去られたらしい。
なんでも恋人に秘密のメッセージを送ったが、付近住民に筒抜けだったらしい。

チャッピーが使うと完璧なので、目標の相手にしか伝わらない。チャッピーが言う。
「敵をわざわざかわいがったりはしねぇさ。ありゃ人質だ。」
こういわれると大将も納得せざるを得ない。おおかたマウントの皇帝に脅迫状でも送ったのだろう。
果たしてマウントでは、緊急会議が開かれていた。
「チボーン侵略作戦の軍隊が全員チボーンに寝返ったなど信じられん。」
「だが、陛下が聞いたのは確かに、大佐以上が知る情報をつかんだ脅迫だ。」
マウントに届いた脅迫とはこうだ。

"マウント軍が全員チボーンに寝返った。そっちは10万人失ったが、こちらは10万人増えたので、20万差が動いた。このままお宅らをつぶしてもいいが、弱っているヤヘイを手に入れてからそちらに向かう。ヤヘイの格闘集団と、チボーンの科学と魔法を一挙に受け止める自信があるのなら、首を洗って待っているといい。それが嫌なら相応の礼儀をつくしてもらいたい。"

問題は、チボーンが本当にヤヘイを丸呑みして攻めてくるという裏づけだ。マウントの皇帝が聞いたのはこの一文だけである。信憑性が少なすぎる。なにより、いきなり頭に現れたセリフなので、合点がいかないのもある。すると、全身汗みずくで走ってくる使者が現れた。
「こ・・・この手紙を・・・水・・・水!」
手紙の内容はこうだ。

"お集まりの諸君。会議は進んでいるかな?この手紙は君たちの求める裏づけを満載した手紙だ。神棚に飾って100回お辞儀してから読め!冗談はさておき、マウントさんの准将以下10万名の命を軟禁している。証拠写真もちゃんと添えてある。一人一人の顔がふっくらしているのは、わが国が誇る美味珍味を毎日押し込んでいるせいだ。彼らはマウント出身のチボーン国民になったのだ。さて、顔写真で一人残らず無事であること、わが国に所属してしまったという証拠はこのとおりである。自動ガードシステム・・・といったか?あのプラモデルもわが国の科学で、改良を重ねて全兵力に搭載した。われわれはヤヘイ経由の陸路で貴殿らを取りに行く。そうだな・・・3ヶ月ばかりかかる。さてさて、我々は無傷でヤヘイを手なづけるので、3ヵ月後に50万人ほどでおじゃまするよ。歓迎しきれないのなら、うまいこと断るがいい。
チボーン参謀課 チャッピー"
「ああ、陛下が聞いた名前に相違ない。なんというタイミングの良さだ。我々はこの者一人に完全に踊らされている。」
「今は国家の安泰を最優先するべきだ。おとなしく賠償を払うべきである。」
「いや、スカイヤ駐在軍と、オーシャン戦線を使えば・・・」
マウント内の会議は難航を極めるが、結局、オーシャンに平和協定を申し出て、ヤヘイに戦力を集結させることになった。
降伏はしない、ヤヘイから来るならばご自由に。これがマウントの意思だ。ヤヘイ併合を果たしたチボーンと戦うからには、国中の戦力をヤヘイに集中させているだろう。
チャッピーは単身オーシャンに向かった。何のことは無い。オーシャン側を今叩けばマウントは瓦解する。単純な方程式である。オーシャンは幸いにも海賊と交戦しており、国境の警備も海賊に気が集中している。すんなりと抜けられるのだ。
 オーシャンは海賊による襲撃のせいで、国力が低下していた。だが、住民は返って今のほうが過ごしやすいという。オーシャン住民の税金は大きく、住民は一切贅沢ができない状態だった。
海賊は不思議と女子供に手を出さないという紳士協定で、時折わざと食料などを落としていくらしい。なんでも船長がつまなくていい荷物の中に食料を含めるらしい。
オーシャン軍の軍服を着た人間だけがそこかしこに転がっている。チャッピーが怪我を治療して話を聞くと・・・
「あの戦争を破壊する、海のリナが海賊を始めたんだ!国家転覆を狙っているに違いない!!」
最近外交でも変なことばかりを言うオーシャンだが、よもや海賊に嘗められるようでは救いようが無い。


これなら、オーシャンを併合しても・・・いや、ヤヘイのサルを手なづけたほうがやはり迫力に勝る。
しかし、腐っても国家を守護する軍隊を相手に圧倒する海賊とはどんなものであろうか?チャッピーはそれが気になる。
町を歩くと、暗く廃れ気味な町とは裏腹なこぎれいで派手な店がある。
"ガーデニングショップ仁義商会連合後見結社瑠奈" と書いてある。チャッピーはどうしても、るなをカタカナにして、小難しい漢字を消すべきだと思った。ショップの中から、スキンヘッドで筋肉質な中年の男性と、顔中が傷だらけで角刈りのサングラスが出てきた。
作品名:無敵最強絶対不敗伝説 作家名:peacementhol