神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP
「はい、私達の力は、世界を形造っている物からの影響をコントロールして力を増幅させている部分もあるんです。わかりやすく言うと、自然からエネルギーをもらっているようなものです。もちろん魔族にも影響は出てるはずですが・・・」
そこでクラーゼス達の方をラーリスが向くと、
「ああそうだ、我があんなに弱いわけがなかろう。まあもっとも全力ではなかったがな」
クラーゼスが不機嫌そうに答える。
ラーリスが人差し指を立てて言う。
「そこで、このようなものを作りました」
ラーリスが白色の指輪を取り出す。
「これは、先程カスクさんが発動していた力を指輪に込めた物です。これさえ身に着けていれば黒雲に対して攻撃が通用します」
ラーリスはカスク達にそれを配り、クラーゼス達にも差し出す。
「はいどうぞ」
「・・・・・」
クラーゼスは手を突き出して上に向けると、3つの指輪がクラーゼスの手に瞬間移動する。
「フン、まあ作るのが手間だしな。だが、色合いがな」
クラーゼスはそう言うと、指輪を黒く染める。それを2人の魔族に放る。
全員が指輪をはめると、ラーリスが言う。
「さて、私達のこれからすることですが・・・カスクさん、あなたはどうしたいですか?」
「え?俺か?」
「はい、この世界では未来を占うこともできませんし、元々があなたがた兄妹の来るところでしたから。今後の方針を決めてもらいたいんです」
「・・・・・俺は、まだここが故郷だなんて感じられない。クリシアの様に記憶があるわけでもないしな」
そう言ってクリシアの方を向く。
「兄様。これは私が無理やり連れて来たようなもの。故郷を一目見てみたい私のわがままです。20年たっているんですから、もしかしたら黒雲をなんとかしているかも・・・と、そう思ったからです。兄様が、今後を決めてください」
カスクは頷くと、
「俺は騎士になったばかりだ。騎士になった目的は、この国を守ろう。人々の平和な生活を守っていこうと、そう決めて騎士になった。だから、この国が俺のもう一つの故郷だって言うなら、俺はそれを取り戻す!」
カスクは拳を眼前に握り締め、決意を新たにする。
ラーリスはうんうんと頷き、
「はい、それでこそ運命の人です。私達も当然供しますよ」
「ラーリス様がそうなさるのなら、私も問題ありません」
「・・・せっかく召喚されたのにあれだけの戦闘では物足りんからな」
ケストエルとハーガルスも賛同する。
「さて、クラーゼス。あなた方はどうしますか?私としてはお帰りになってもいいんですが」
「貴様に全てを委ねる訳にもいかんだろう。それに、この世界もついでに支配するのもよかろう」
後ろの2人の魔族はクラーゼスにひざまずいた。
ここに、ゴッド・パーティが誕生した。
「さて、決まった所で、最初の目的地なんですけど。先程クリシアさんが見た、蛍光城とやらに行ってみますか、生存者もいるらしいですし」
「よし、行こう!」
そこでカスクが声を上げる。
「・・・どうやって?」
空中に浮いている城を前にカスクが聴く。
「大丈夫ですよ。この位の距離なら跳んで行けばいいにんです。ケストエル、あなたはクリシアさんの方をお願いします」
そう言うと、ラーリスはカスクの腕を取って肩に掴ませる。
「カスクさん。しっかり掴まっていてくださいね。あと、目と口を閉じていてください。風圧が凄くなりますから」
「お、おう」
カスクは目と口を閉じ、衝撃に備える。
ラーリスがグッと身を屈めると、一気に跳躍する。
「!」
カスクは凄まじい豪風を受ける。
わずか1、2秒の事だった。
「着きましたよ。カスクさん」
カスクが目を開けると光が見える。眩しい程ではなく、ほのかに光っている程度だ。
周りを見ると、そこは城の城門の前。何かの発着場の様な所だった。
続いてクリシアとケストエルが、ハーガルスも続く。
クラーゼス達もすぐ後に来たが、アクビアと呼ばれた悪魔は遅れてやってきた。髪の毛に木の枝や葉が付いていた。
「アクビア。お前まださっきの戦闘で懲りてなかったのか。空間転移はこの世界での法則が違うから上手く使えないんだよ」
「ううう・・・ですがクラーゼス様ぁ。仮にも側近である私達がこんな簡単な魔法もできないなんて思わなかったんですよう」
「阿呆」
クリエンテが冷やかにアクビアに突っ込む。
「空間組成が別物。転移を行う場合、魔法を組み直す必要」
「フン、いいわよ。あたしはどーせ感覚でしか魔法使えませんよーだ」
2人があれこれやり取りしていると、門の方から人が出てきた。普通に兵士といった感じだった。
「お前達。どこからやってきた。蛍光城はまだ着城の予定はないはずだが、抜け出した者か?」
兵士は武器を構えながら問い詰めてくる。
「いえいえ、私達はこの城の者ではありません。あそこにある城からやって来たんです」
ラーリスが眼下にある城を指さして言う。
「んん?フォーマル城からだと?何を言ってるんだ。あそこは20年も前に廃墟になっているんだぞ。そんな所から来れるはずないだろう。第一、こんな高さを飛んでこれる訳がないだろう」
兵士はそう言うとラーリス達を見渡して、ケストエルやクリエンテを見て。
「魔法でも使えるのか?」
「ええ、使えますよ。私達はそれでここまで飛んで来ました」
ケストエルが答える。
「そうか、まだ生き残ってる奴はいるんだな」
兵士はうんうんと感動する。
「えーとですね。感慨深いところ悪いんですが、ここの王様なんかには会わせてもらえませんか?ちょっと話したい事があるんですが」
ラーリスが兵士にそう言うと、
「うーん、どうだろう。生存者とはいえ、いきなり王様に謁見はできないだろう。あんた達の身の証を立てる物があれば別なんだが・・・」
「大丈夫です。私達は、『黒雲に対抗できる方法を教えに来た』のですから」
ラーリスは笑顔で答える。
城門の兵士はとりあえず、話だけでも伝えてみるということで、カスク達を中に入れた。
城の中は城下町となっていた。ただし、全てが発光しているわけではなく、床一面が光っていて、その他の建物は普通のつくりだった。
「この蛍光城にいる人達は避難民ではないようですね」
ラーリスが兵士に問う。
「ああ、ここにいる住民は避難民ではなく、元々住んでいる人達だ。さすがにあんな一方的な戦闘に参加する気はなくてな、20年前からずっと飛び続けている」
カスクが周りを見ると床が光っている以外は普通の城下町と変わらなかった。平和そうな日常があった。
「さて、着いたぞ」
兵士がそう言うとほのかに光る城に着いた。
「ここで待っていてくれ、国王に話を通してみる」
そう言うと兵士は城に入って行った。
小一時間ほどしたら、兵士が城の入口に戻ってきた。城の侍女らしき人も一緒である。
「どうぞ、国王がお会いになられます」
カスク達は国王の謁見の間に向かう。城の中は外観と変わらず光を発していた。
やがて国王の謁見の間に着いた。
大きな椅子に国王は座っていた。年の頃60といったところか、白い白髪に金と赤の法衣を着ている。
カスク達が国王の前まで来ると、クリシアが跪き、カスク達がそれに習う。クラーゼス達はそのまま立っている。
作品名:神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP 作家名:enuku