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神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP

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「えーと、理解するのが難しいでしょうから、もともとできたってことで」
そこで、またどよめきが走る。
試合を見てみると、ケストエルが兵士の真後ろで剣を振り下ろした状態だった。
兵士は頭を抱えてうずくまっている。
「よ、よし、そこまで!」
今回も動揺しているが騎士団長はケストエルに勝敗を上げた。
ケストエルはカスク達の側に来た。
「どうやったんだ?」
「どうということは・・・単純に兵士の後ろに回っただけです。単純にスピードに差がありすぎただけでしょう」
ケストエルはさらっと言う。
そして、ハーガルスの番が来た。
ハーガルスが剣を構える。
「む・・・」
騎士団長は対峙している兵士の膝が揺れている事に気づく。
「・・・待て、お前の相手は儂がしてやろう」
膝が震えている兵士をどかすと、ハーガルスに対峙する。
「我が騎士団の兵を恐れさせるとは、貴公、なかなかやるようだな」
「・・・少なくともあんたよりはやれると思うが」
「フン、言ったな、では、ゆくぞ!」
騎士団長はハーガルスに切りかかっていく。
バキィッ
二人が剣を交錯した瞬間に木刀は砕け散った。
「・・・・・」
騎士団長は自分とハーガルスの砕けて柄のみが残った木刀を見ていた。
「よし、貴公も合格だ。久々に腕の立つ者のようだな。今度は真剣でやり合わぬか?」
「・・・・考えておく」
騎士団長はハーガルスの名前を聞くと下がらせる。

しばらくして、入団試験がすべて終了し、騎士団長は合格した全員を集めた。
「よし、よくぞ騎士入団試験に合格した者達よ。これで貴公等はこの城の騎士となることができた。明日には国王様から直々に騎士の認証が受けられる。これより、皆に騎士の鎧を受け取ってもらい、明日はそれで認証の儀を受けてもらう。では、宿舎に案内するので付いてまいれ」
そう言って騎士団長は皆を連れていった。

その夜。与えられた宿舎のカスクの部屋に4人は集まっていた。
「それで、昼間言ってた試験を受けた訳というのは?」
カスクがラーリスに質問する。
「はい。試験の場にいた王女様ですが、あの者は普通の人間ではありませんね」
「王女様が?・・・それって魔族が化けてたりとかしてるんじゃないのか?」
「いえ、単純に変身している魔族だけならすぐに分かります。現に今回の騎士試験にも紛れ込んでいましたからね」
「何っ!それは分かってたのか?」
「ええ、ただ、カスクさんの運命がどのようになるのかまだ分からない事が多すぎたので、あちらから行動を起こすまで静観することにしました。ああ、問題なく。行動を起こせないように色々やっておきましたから」
「先程、ラーリス様の指示で謁見の間を聖域に近い状態にしておいた。カスク様でも誰が魔族なのか分かるかもしれないですよ」
「んー、まあ対策がしっかりしてるなら問題ないか」
「はい、ただ、王女様の動向だけはカスクさんも注意してくださいね」
「わかった。それじゃ、また明日だな」
カスクがそう言うとそれぞれの部屋に戻っていった。


翌日。
カスク達は謁見の間に来ていた。
一番に来たせいか、城の侍女達がまだ色々準備している時だった。
「おう、お前達が一番か」
騎士団長もすでに来ていた。
「おはようございます」
「うむ、見ての通り、まだ準備が済んでおらんのでな、全員がそろったら説明するのでしばし待っていろ」
騎士団長がそう言うと、騎士の鎧を着た者が続々と入ってくる。
30人ほど集まったところで、騎士団長が皆に言う。
「よし、集まったようだな。これより・・・・」
そこで説明が途切れる。
カスクが振り向くと入口の所で立っている騎士が2人。
「どうした、お前達もこっちへ来い」
騎士団長が手招きすると、2人はおどおどしながら入ってくる。
「うっ」
2人は感電でも起こしたかのようにぎこちなく入ってくる。
(あの2人か・・・・)
カスクは2人が魔族だということがすぐに、いや、誰でもわかる状態だった。脂汗もかいている程である。
2人が集まりに入ると、騎士団長が全員に整列させた。
しばらくすると、謁見の間に王様が入ってきた。年の頃は60歳というところ、赤を基調とした服装をしている。
そして、そのついで、王女も入ってきた。
2人が定位置に着くと、王様が言う。
「よくぞ参った、我が城の新しい騎士達よ。これより、騎士認証の儀を執り行う」
そして、王様は王女を前に出させると、
「今回は我が娘であるクリシアが、騎士認証の儀を執り行いたいという願いがあったので、私の代わりに儀を行ってもらうこととなった。では、クリシアよ」
王女は一礼すると、
「昨日の騎士入団試験は見事なものでした。私は王女という身分である故、城を守っていただける勇敢な騎士の方々の実際の活躍を見ることがあまりありません。それで、せめて認証の儀式を我が父に代わっていただき、自分を守っていただけることを実感しようとの考えでした。では、皆様、よろしく願います」
王女が再び一礼すると、王様が拍手をした。それにつられて皆も拍手をする。
拍手が収まってきたところで、騎士団長が装飾のついた金の剣を王女に渡す。
「では、これより騎士認証の儀を執り行います。最初の方、前へ」
そして、カスクが王女の前に出た。4人は最前列にいた。
王女は剣をさやから抜くと、王女の前にひざまずいたカスクの肩に剣を添える。
「そなた、名は?」
「カスク・ノーマルと言います」
「ではカスクよ。この時よりそなたを我が国の騎士に任命する」
キンッ
鉄がはじかれた様な音がした。
突然、室内が青く染まる。
「そうですか、あなたが・・・」
そう、王女が呟く。
ざわっ
騎士達がざわめいた。
騎士達がざわめいたのは、王女の顔を見たからだった。
その右目は奇妙な紋様が画かれ、金色に光っていた。
「さあ、顔を上げなさい、カスク」
王女がそう言うと、カスクは王女の顔を見る。
驚いたその顔には、
王女と同じ文様の目が光っていた。

「さあ、カスク。もっと顔を近くに・・・」
王女がそう言うとカスクの顔を両手で掴んで引き寄せる。
2人の目が交差した瞬間。
光の球体が2人を覆った。
「お父様、今までありがとうございました」
クリシア王女の声を最後に2人が見えなくなる。
「カスクさん!」
ラーリス達3人が飛び出す。
ラーリスが右手を光に突き刺す。
何の感触もなかった。
「空間転移!」
ダンッ
ケストエルがいつの間にか杖を取り出し、床に叩きつけていた。
周囲の時間が凍りつく。
ラーリスとケストエル以外の時間が停止した。
「ラーリス様。これは何所に?」
「・・・・違う、これは次元転移しています!・・・そうか、予知ができない訳はこれですか」
「ラーリス様!追いますか?」
「行きましょう、運命を確かめに!」
そう言うとラーリスは光に飛び込む。
ケストエルもハーガルスを抱えて飛び込んだ。

ラーリス達が光に飛び込んだ後、
不意に近衛騎士の兜が開く。
「やれやれ、時間停止を解除してから行けってんだ」
その男は両手をパンと合わせると、時間が動き出す。
場内のどよめきが始まる。
「来い。アクビア、クリエンテ」
その男が言うと、2体の影が現れる。
「お呼びですか、クラーゼス様」
影の一つが言う。