神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP
「なるほど、そういう技か」
ズオッ
ヴァイオの体からクラーゼスと同じ様な黒い気流の様なものが出てくる。
「さて」
「!」
ドンッ
ヴァイオが呟いた瞬間、10メートル程移動して、二人は右拳を合わせていた。
「貴様、コピーしたのか?」
「まあ、似たようなもんだ」
ガンッ
また違う場所で蹴りが交差していた。
「はっはあ、こりゃあ使える技だな!」
「フン」
ゴッ
クラーゼスの放った拳から黒い衝撃波が出る。
「おっ?」
ヴァイオはよろけるが、体は破壊されない。
「なるほど、この闘気みたいなもんは防御にも使えるのか」
ヴァイオは体勢を立て直しながら言う。
バシィッ
ヴァイオがクラーゼスの拳を掌で受け止める。
「だが、弱点も分かったぜ!」
「ほう・・」
「反転開始(エイバーオ)」
バシュウウウウウウ・・・
ヴァイオの体から白い闘気が出始める。
「これは・・?」
クラーゼスが呟いている間に、眩しいまでに輝き始める。
それは段々と膨張していく。
ゴガンッ
クラーゼスが放った拳はヴァイオの拳と相殺する。
ピシッ
クラーゼスの拳にヒビが入る。
「貴様・・・この力はまさか・・」
「気付いたか?お前の苦手な神法力に変換してんだよっ!」
ガッ
クラーゼスが頭を殴られ、はじき飛ぶ。
「マスター!」
クリエンテが叫ぶ。
エラートの体はカスクのステータスソードに貫かれていた。
「はっ!」
カスクは声と共にソードを切り上げる。
エラートは上半身が二つに分かれるが、血などは吹き出したりしていない。
ドンッ
間髪いれず、クリシアが羽を纏った槍でエラートを貫く。
クリシアの足場には黒い1メートル程の帯が伸びていた。それはハーガルスの足元から伸びていた。
ギュン
かなりの高速でクリシアがその場を離れる。帯はクリシアを乗せて伸びている。
「さて、相変わらずダメージらしいものは見えませんね」
ラーリスが言うように、エラートは上半身が分かれ腹部に大穴が空いた状態で、平然とカスク達の方を向く。右の人差し指をカスクの方へ向ける。
「・・シス・・て・・ラムと、同ジ・・・」
ドッ
そう言うと、エラートの指から黒い文字の帯が飛んでくる。
ガギィィィィ・・・
カスクはそれをソードで両断する。
それでもエラートはカスクに攻撃を続ける。
「ケストエル!足場を固定してください!」
ラーリスはすでにエラートの真上に跳び上がっていた。
ケストエルが杖の先端を地面に突き付けると、エラートの足場に法陣が描かれる。
『 神鉄槌 』
空間からラーリスに巨大な槌が装備される。
バッ
ハーガルスが両手を広げると、エラートとラーリスの周りに円筒形状に黒い三角形の塊が覆い尽くす。
バシャッ
聞こえた音は予想外の音だった。
ラーリスは神鉄槌を振り下ろした状態でいる。
槌の先端が水の様になって地面にこぼれている。
ドシュッ
ハーガルスの半身がエラートの指から伸びた爪に貫かれる。
「っ・・」
「ハーガルスさん!」
ラーリスはハーガルスに突き出された状態になっていた。
ラーリスはハーガルスの襟を掴み、その場を離れる。
ハーガルスは離れた所に降ろした。
「ぐぐっ・・」
ハーガルスは半身が動かなかった。血は吹き出していないが、エラートの体に回っている文字の様なものが傷口にある。
ハーガルスが張った結界が消える。
「俺はいい、奴を倒す方法を考えろっ!」
「三奏時間制止法(パォーラウスホーバ)!」
ガシン!ガシン!ガシン!
ケストエルの放った時間の神法陣が再びエラートを包み込む。
ビシッ
神法陣に亀裂が入る。
すると神法陣の時計が逆回転を始める。
「えっ?」
バシッ
驚愕の表情のまま、ケストエルは神法陣に包まれ停止させられる。
「ケストエル!」
ラーリスが叫ぶが、ケストエルは時間停止状態にあった。
「くそっ、こうなったら俺とクリシアだけで勝負するしかないのか・・」
カスクがソードを構えながら言う。
「フェザーアロー!」
クリシアの声と共に羽がエラートに飛んでいく。
ドドドドドッ
エラートはまともに無数の羽が突き刺さる。
「おおっ!」
カスクは掛け声とともにエラートを薙ぎ払う。
ザンッ
エラートの上半身が飛ぶ。
「え?」
あっけなさにクリシアがエラートの上半身を目で追う。
ドサッ
エラートの上半身が地面に落ちると、エラートの傷が修復される。
元に戻ったエラートの上半身はカスク達の方を向く。
「おまエ達・・ヨワイ。エラーと、に勝てなイ」
余裕があるエラートにラーリスが言う。
「いいえ、存在が消えない限り、勝敗の断定はできません。まだ、私達にはあなたに勝てる可能性があります!」
「ラーリス・・・」
ラーリスは拳を掲げると、何か呟く。
キィン
拳が少し光ると、拳の甲には五忙星が二重に描いてあるマークが浮かび上がる。さしずめ十忙星という感じになっている。
ラーリスはその拳を地面に叩きつける。
「神の道標(ゴッドウェンクスロード)」
ズ・・
ラーリスの拳から光が溢れ、幅10メートルの光の絨毯が広間に出来上がる。
「!」
エラートは体を動かそうとするが、2つの体はどちらも動かなかった。
「カスクさん、ちょっとお借りします」
そう言うとカスクの手からソードがラーリスの手の中に飛ぶ。
光の絨毯から光が立ち昇っている。
「・・この神の道標は、この世界に強制で[私の世界]を創造する力。あなたの能力は封じさせてもらいました!」
ラーリスはエラートの上半身と下半身の間に移動していた。
ラーリスの手にある剣が消える。
実際には速すぎてカスクの目では捉えられない。
ラーリスの手もカスクには見えなかった。
音もなく、エラートが細切れになって消えていく。
「いけるかっ?」
ゴワァァン
カスクが叫んだと同時に鐘が近くで鳴った様な音が聞こえた。
「これは・・何?・・・」
エラートの居た場所の空中に巨大な剣が現れていた。
大きさは5メートル程。形状がおよそ剣とは呼べない形をしていた。剣と言うよりはでたらめに作られた巨大な扇のようであった。
ガシッ
すでに細切れになっていたはずのエラートの手が剣の柄をにぎる。
すると、エラートの体が復元される。
「一体どうやって召喚を・・?」
ラーリスがありえないと言った表情でそれを見ていた。
ドンッ
「な!・・」
ラーリスの体はエラートの剣に肩から腹に貫かれていた。
前の瞬間まで剣があった所から、黒い文字が、今剣がある所まで伸びていた。
パキィィィ・・
乾いた音と同時に、ラーリスが創り出した世界が壊れる。
「原初ハ、カラダニ、世界ヲ・・もつ」
ブン
エラートが剣を振ると、ラーリスが飛ばされる。
「ラーリス!」
カスクが駆け寄る。
ハーガルス同様、黒い文字が切り口にあり、体が修復されない。
ラーリスは目を開けたまま意識を失っていた。
「くっ」
カスクはラーリスから剣を取り、エラートの方へ向ける。
剣は折れていたが、カスクが構えると剣が修復され元に戻る。
「オワり・・」
ゴッ
エラートから剣が投げられ、カスクに向かっていく。
「おおっ!」
作品名:神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP 作家名:enuku