神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP
ヴァイオの問いにエラートはそちらに向き。
「かワら・・ない・・この世界・・埋め・・ル」
「!、あなたの目的は、その存在をこの世界に埋め尽くす事なのですか?」
ラーリスがエラートに問いかける。
「?・・そういう・・約・・そク・・」
「約束・・・ですか?・・それは一体誰と―」
ゴウッ
ラーリスが屈んで避けた場所に赤い大剣が通り過ぎていく。
エラートは投げた体勢のまま、
「お前・・タチ、イラナイ!」
ズオオッ
突如エラートの体から黒い文字の奔流が暴れだす。
それは瞬時に広間を埋め尽くし、城外へ溢れる。
「ったく、相変わらず無茶苦茶な奴だな・・」
城の外に脱出したヴァイオが愚痴る。
外に出たのはマティカ、クラーゼス、アクビア、クリエンテだった。
エラートの奔流が収まっていく。
やがて消え去り、エラートの姿が見えてくる。
「お前タチ・・」
カスク、クリシア、ラーリス、ケストエル、ハーガルスはその場に残っていた。
ラーリスが展開していた白い球状結界を解除する。それは5人を覆っていた。
「いきなり、やられる訳にはいきませんからね!」
5人は構える。カスクとクリシアの目が光りだす。
「カスクさん。行きますよ!そのまま構えていてください!」
「!、おうっ!」
「三奏時間制止法(パォーラウスホーバ)!」
ガシン!ガシン!ガシン!
時間の形をした白い神法陣がエラートを三重に包み込む。
ケストエルが神法を放った瞬間、ラーリスはカスクを後ろから抱きかかえ、エラートの横に移動していた。
そのまま突っ込み、カスクの剣先がエラートに迫る。
三重に掛けられた時間停止により、エラートは動かない。
ガキィィィィン
ケストエルの神法陣が砕け散る。
「さて、こっちはこのメンバーでいいのか?」
ヴァイオはマティカを見据えて言う。
「ヴァイオ!あなたなんて私一人でも充分よ!」
マティカは指を指して言う。
「まあ待て娘」
クラーゼスがマティカを諭す。
「聞けばこのヴァイオとかいう者。まともが通用しないそうではないか。我らの力も使ってみるが良い。いや・・」
クラーゼスが一歩前へ出る。
「我の力を試してみたくなった」
クラーゼスが重子剣を構える。
ヴァイオは腕組みをしながらクラーゼスを値踏みする。
「ふーーん。魔王ねぇ・・そのガラクタがどこまで使えるもんかねぇ?」
「なら、試すとしよう!」
声と共にクラーゼスがハーガルスの手前まで来ていた。
グアッ
重子剣が振り下ろされる。
ヴァイオは後ろ手にした両手を前に持ってくる。
「!」
その両手には白い剣が握られていた。
「吹っ飛べ!」
ヴァイオはその右の剣をクラーゼスの重子剣と交差させる。
カッ
交差した剣から光が弾ける。
先程、重子剣が出した核爆発の倍の破壊が生まれる。
クラーゼスは光の中、その衝撃に耐えていた。
「さらにこれを交差したらどうなるかな?」
爆発の中心でクラーゼスは聞こえるはずのないヴァイオの声を聞く。
衝撃が展開中にも関わらず、平然とヴァイオは左手の剣を交差させようとする。
ガシッ
剣が当たる直前にアクビアが掴んで止める。
「ほー」
ヴァイオが感心した声を出し、衝撃が収まっていく。
ドドドドドドッ
ヴァイオのいた場所に無数の青く輝く棒が突き立てられる。
マティカが上空からそれを放っていた。
「おいおい、あぶねーな」
ヴァイオはマティカのさらに上に居た。
「くっ!」
マティカは体を回転させ、拳を放つ。
ドッ
空気の衝撃が大気に響く。
ヴァイオは拳を片手で受け止めていた。
ヴァイオはそのままもう片方の手で、持っていた白い剣を投げる。
何も無いはずのその先にはクリエンテの放った巨大槍があった。
ドッ
核爆発が起こり、槍が吹き飛ぶ。
「はあっ!」
マティカの回し蹴りは空を切る。
衝撃が収まっていく。
そこには平然と立っているヴァイオの姿があった。
「・・・相変わらず無理を通り越してるわね・・」
マティカがヴァイオを凝視する。
「フン、人間の作った武器にしては持った方か」
クラーゼスは刀身の砕け散った重子剣を捨てる。
「さて、次だが」
フィィィィィィ・・・
クラーゼスが言う前にヴァイオは青白く光る半透明の球体結界に覆われる。
マティカが両手を突き出していた。
中心にマイナス1万と数字が出ている。
「んん?こいつは虚数か?」
反重力の只中に居て、潰れることなく平然としていた。
「お!」
ヴァイオが声を出した時は、すでにマティカが[0]という数字が書かれた1メートル程の球体をヴァイオにぶつける所だった。
ガシッ
球体の直撃を受けたにも関わらず、変化することなくマティカの手首を握っていた。
「くっ・・ゼロボールが効かないなんて・・」
「残念だったな。お前がいる時点で、」
ゴッ
ヴァイオがマティカの腹を蹴り飛ばす。
「数学的物理が効かなくなってるんだよ」
クリエンテが受け止めるが、マティカの意識はなく、腹に亀裂が走っていた。
「しばらくは動けねえだろ?」
ゴォォォ・・・ンン
「ん?」
鐘の鳴る音が響く。近くにはその様な物はない。
音を辿っていくと、クラーゼスが自身の真下に魔法陣を作っていた。
「くっくっく・・・前口上は遮られたが、おかげで準備の時間が取れた」
クラーゼスがそう言うと、辺りが急に暗くなる。
10秒もかからずに空が暗雲に包まれる。
カッ
暗雲から紅い稲妻がクラーゼスとヴァイオの周囲に落ちる。
「何だ?こりゃ?」
「さて、ここから真なる夜の時間だ。相手をしてもらおう」
ヴァイオがクラーゼスの方を向くと、黒装束だったクラーゼスがさらに黒くなっている。
正確には、クラーゼスが闇に覆われ、輪郭が見えなくなっている。
ドンッ
「お?・・」
クラーゼスがヴァイオの腹に一撃入れていた。ヴァイオの腹部が吹き飛ぶ。
ヴァイオはその攻撃が見えなかった。
ガッ
左に100メートル程の所で音がする。
すでにヴァイオは移動していて、その右手が粉々になっていた。
またしてもクラーゼスが後ろから拳を当てていた。
「何っだ!こりゃあ!?」
ヴァイオは訳が分からず、叫ぶ。
ゴガッ
遠くで音がする。今度は前方500メートルは離れたところで、クラーゼスがヴァイオの左足を踏み砕いていた。
「す、凄い・・クラーゼス様・・」
アクビアが茫然とその光景を見ている。
「・・・・・」
クリエンテもマティカを支えながらその光景を見ていた。
ゴッ
「!!」
とうとう、ヴァイオは頭部を破壊され、粉々に砕け散る。
「止めだ!」
クラーゼスの声がすると、止まったヴァイオの体に無数の打撃が降り注ぐ。
ゴガァッ
ヴァイオの体は全て破壊された。
「やった!クラーゼス様!」
アクビアはクラーゼスの元に走り寄る。
ドゴンッ
「っ?!」
アクビアは声も上げられず、地面に叩きつけられる。
地面に亀裂が走り、地中にめり込む。
「貴様・・・」
「うおー危ねえ、アブネエ。分身体を作っておいて正解だったな」
ヴァイオはクラーゼスの方を見ると、右手の指を二本立てて、額に当てる。
作品名:神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP 作家名:enuku