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神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP

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 カスクは城主に与えられた部屋のベランダに出ていた。
 500メートルの上空にあるが、防護障壁があるので風はそれほど強くない。
「考え事ですか?兄様」
 横にいるクリシアが話しかけてくる。
「ああ、普通に騎士の試験に合格して、城に仕えていたらどうしていたのかと思ってな」
「・・そうですね。私も兄様が城に現れるなんて思いもしませんでした。フォーマル城での記憶は与えられていても、帰る手段がありませんでしたから。一生を城で過ごすものと思っていました」
「それがまさか、神様の戦いに関わるなんてな」
「ええ、貴重な体験ですが、今はこの世界の存亡の危機。私達も何かしらの力が使えるはずです。力及ばずとも頑張りましょう」
「ああ」
 夜風が吹きぬけていく。
「そう言えば、クリシアはどうして城の王女になっていたんだ?俺と同じならどこかに飛ばされて・・拾われてそこで育つと思ったが?」
「私ですか?・・・私はあちらの世界に着いた時、城の王の間に現れたそうです。そこにはお父様や城の人達がたくさんいたそうです。私が現れるまでお父様は子供が授からず、お母様を亡くされていたので、天から授かった子供として大変良くしてもらえました。私が話せるようになって、こちらの世界の話もしましたが、変わらず私を愛してもらえました。記録再生の魔法でこちらの父と母の記憶はありますが、私にとってあちらの世界が故郷と言えるでしょう」
「そうか・・・俺は普通の村の母さんに育てられたが、扱いは似たようなもんだな」
 そうして二人で笑い合う。
「さて、夜も更けてきたことだし、寝ようか」
「はい。・・あの、兄様」
 部屋のベッドに寝ようとしていたカスクをクリシアが呼び止める。
「ん?どうした?」
「はい・・あの・・」
 クリシアは顔を赤らめている。
「どうしたんだ?クリシア」
「ええっと・・その、もし良ければ一緒に・・・寝てもいいですか?」
 カスクの動きが止まる。
 クリシアは両手を振って、慌てる。
「いえいえいえ、変な話ではなくて!」
「えーーと、どういう事なんだ?」
 カスクも顔を赤らめて頬を掻きながら聞く。
「私達、兄妹ですのに一度も一緒に寝たことが無いので・・それで・・・」
 声が段々小声になっていった。
「・・・まあ・・・寝るだけなら・・いいか」
「本当ですか!兄様!」
 クリシアは嬉しさの余りカスクに抱きつく。
「おいおい、クリシア!一緒に寝るだけなんだからな、そんなにはしゃぐな」
「はっ!・・ご、ごめんなさい兄様」
「そんなに兄妹で寝るのがうれしいもんなのかね」
 カスクはそう言ってベッドの掛け布団をめくる。

 2人はその状態で固まっていた。
 しばらくして、カスクが声を出す。
「おい・・・・何してんだ、クリエンテ」
 カスクのベッドにはクリエンテが入っていた。
 ちゃんと寝巻に着替えてある。
「カスクの生気は美味だった。またもらおうと思って」
「っておい!こんな時に何言い出すん・・」
 カスクは言いかけて、ヤバそうな気配を背中に感じていた!
 ゆっくりと振り向くと、笑顔のクリシアがいた。
 ただし、
(目がっ!メが笑ってないいっ)
「にい・・さま・・これはいったい・・?」
「いや、その・・えっとだな・・・」
 カスクが返答に困っていると、クリエンテが上半身だけ起きて、
「私達悪魔は、生物の生気を食べる。食べられたカスクは疲れるから、そのまま一緒に寝るつもり」
プッチィィン
 何かが切れる音がした。
 つかつかとクリシアがクリエンテの傍まで歩み寄る。
がしっ
 クリエンテの片腕を掴む。
「そういうのは」
 クリシアが窓の方を向く。
「別の人とやってくださいいっ!」
 クリシアが投げると、クリエンテは窓の外に飛んで行った。

 クリエンテが戻ってこないのを確認すると、クリシアはカスクに向き直る。
 満面の笑みを浮かべて、
「さあ、寝ましょうか。兄様」
「・・・お、おう・・・」


 数日後、カスク達はフォーマル城に着いていた。
 カスク達はこの世界に来た時と同じ場所にいる。
「ここね」
「はい、そうです」
 マティカの問いにラーリスが答える。
 マティカは周りを見渡すと、ケストエルに言う。
「ケストエル。この場所で過去に行くとパラドックスが起こりやすいから、城の外で行いましょう」
 ケストエルは頷くと、マティカと共に城の外へ跳んでいく。
「ここでいいですか?」
 二人は城から離れた山の林の中にいた。
 マティカはケストエルの片手を握る。
「マティカ様?」
「私の力であなたの力のコントロールを微調整するわ、時間を止めていた方がやりやすいし。結構な長丁場になるかもしれないしね」
「わかりました」
 ケストエルはすうと深呼吸すると、
「いきます」
 二人の地面に魔法陣が描かれる。
 時計を模した魔法陣はその針を急回転させる。

バシッッッ
「?!」
 ケストエルは衝撃に驚く。
 次の瞬間には周りが黒雲に覆われていた。
「くっ!」
ダンッ
 ケストエルが杖を地面に叩きつけると世界が静止する。
「どうしたの?ケストエル!」
「分かりません!20年前に着く直前に何かによって遮られました!」
 辺りを見渡すと、黒雲の軍団がフォーマル城に進軍していた。
「遮られた?」
「はい、何か[壁]の様なものにぶつかった様な衝撃がありました」
「時間に壁?そんな物があるの?」
「いえ、私も初めてです。時間移動が遮られるなんて・・」
「・・・周りを見る限り、これは話にあったフォーマル城陥落の時間帯のようね」
「はい、まだ城は落ちていない頃ですね」
 マティカは城の王の間を見て、
「とりあえず、さっきの場所に行ってみましょう。調べるしかないんだから」
 二人はそのまま王の間に向かった。
 もう城の内部にも黒雲の集団がひしめいていた。
 王の間に着くと、何やら大がかりな祭壇があり、大勢の人間が周りにいた。
「あれは・・カスクとクリシアね」
 祭壇の中央には小さい赤ん坊が二人いた。
「どうやら儀式の真っ最中のようですね」
 祭壇の前では魔法使いらしき人物が詠唱している最中だった。
「・・・このままでは進展がないわね・・・時間を通常にしましょう」
「え?でも、見つかったら大変ですよ?ここには隠れる所もありませんし・・」
「大丈夫」
 ケストエルがマティカの方を向くと、その体が透け始める。
「マティカ様!」
「大丈夫って言ったでしょう。私達の存在比率を下げているだけ。限界まで下げれば何者にも認識できなくなるわ」
 マティカの姿が見えなくなると、握っているケストエルの手も消えていた。
「通常に戻して」
「・・・はい」
 時間が再生される。
 とたんに喧騒が鳴り響く。すでに城の中では戦闘が起こっているため、王の間にもその音が聞こえてきていた。
 魔法陣が光を放ち、幼いカスクとクリシアを包んでいく。
「!」
 マティカが何かに気づく。
「止めて!ケストエル!」
 マティカが言った瞬間、ケストエルは杖を地面に叩いていた。
 2人を覆っていた光はまだそのまま残っている。
「どうしました?マティカ様」
「・・あれは・・・一緒に来て」