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神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP

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 長く二つに分かれた水光色の髪、目も同様となっている。
 一番特徴的なのは、その青光り輝くドレスだった。その刺繍に描かれている文字が、

 数字の無という文字が服に埋め尽くされていた。
 少女は周りを見渡すと、フェアプレイの方を向いた。
「ヴァイオ!姉様をどこにやったの!」
 少女はフェアプレイを指さすと言い放つ。
「・・やっぱマティカか・・面倒なのが来たもんだ」
 ヴァイオはやれやれと言った感じでマティカを見る。
「ここしばらく姉様の存在が探知できなくなってるのは、あんたぐらいしか考えられない!」
「ああ?システラムの事なんざ知るか。俺もしばらく会ってねえよ」
「ならさっきのエラートの欠片は何?あんたも関係してるんでしょ!」
「あーもう、うるせえな、詳しい事が知りたかったらエラートに直接聞け。グイテンドとかいう機械の街にいるからよ」
 ヴァイオがそう言うと姿を消す。
「あ!ちょっと待ちなさい!」
 マティカが走りだそうとした時、ラーリスが前を塞ぐ。
「ちょっと待ってもらえませんか?」
「何?あなた。この世界の人間みたいだけど・・急いでるんだから!」
「いえ、私は異世界の神です。故あってこの世界に来たところ、先程の二人に遭遇したのですが、詳しい話を聞かせてもらえませんか?」
「異世界から?・・」
 マティカがラーリスをじっと見ると、
「分かったわ、私も状況がわかっていないし、あの二人が逃げることなんてありえないしね」


「私はマティカ。原初の7人とか呼ばれてる物の一つよ。さっきのはエラートとヴァイオ。私と同じ物よ。しばらく前からシステラム姉様が探知できなくなってて、調べてみたらこの世界に来た痕跡があって、さっき到着した所。まさかあの二人がいたなんて思わなかったけど」
「原初の7人。やはり以前、[神]からお聞きした事があります。実在していたんですね・・」
 ラーリスがマティカをじっと見る。よく見ると瞳の中にも数字の0がある。
「あれ?ラーリス。神から聞いたって・・ラーリスが神様なんじゃないのか?」
 不思議に思い、カスクがラーリスに尋ねた。
「ああ、説明してませんでしたね。私は神王ラーリス。私の上に神様がいる様なものだと考えてください。説明が長くなるので今まで話しませんでしたけど」
「?・・よくわからないんだが・・」
「だから長くなるという事です。それより本題の話をしましょう」
 ラーリスはマティカに向き直る。
「この世界での出来事は大体分かったわ。どう考えてもエラートの影響ね。どうしてこんな文明レベルの低い世界を選んだのか疑問なんだけど・・ま、あの二人にまともな考えがあるとは思わないわ。少なくともシステラム姉様がこの世界に来たことは確かなんだから」
 そこでマティカはカスクの方を向く。
「あなたが例の力を持ってるってこと?」
「ええ、どうも生まれたすぐに与えられたみたいで、詳しい事は不明ですが」
「ちょっと見せてもらえる?」
 カスクはマティカの前で剣を構えると、右目が光る。
 マティカは驚くことなくカスクに近寄り、右目を覗き込む。
「・・なるほど、確かに姉様の[修復]が掛っているわね」
「[修復]?」
「ええ、エラートの撒き散らす[異常]を[修復]する力がね」
「ほう、ではあの者の力は[異常]からきていたのか」
 クラーゼスが言うと、
「そう、私達、原初の物にはそれぞれ属性があるの。それを完全に制御する力を持ってる」
「お前も持っていると言うことか」
「私は[数]。姉様は[構成]。エラートは[異常]といった様にね」
「では、先程のヴァイオとかいう者も持っているんですね?」
 ラーリスが聞くと、マティカは目を細めて嫌そうに言った。
「あいつの属性は[反則]よ」

 しばしの沈黙の後、カスクが尋ねる。
「[反則]?・・そんな属性があるのか?」
「ええそうよ!なんであんな奴がでたらめな力を手にしたのか全く理解できないわ!」
 ヴァイオの事に関することは強い口調で話すマティカ。
「・・どちらにしても、あの二人をどうにかしないことにはこの世界が滅んでしまうということですね」
 ラーリスが考え込んでいると、レイミールが話しかけてくる。
「ちょっといいかい。さっきから聞いてると、かなりとんでもない話になってるようだね」
「はい、これはもはや神のレベルを超えた事になっています。話から推測しても、戦力になるのはマティカさんだけとなります」
「そうね。異世界とはいえ神の従者クラスの力の持ち主が2人いて、システラム姉様の力がある2人。それに準じる力があるのが数人では、2対1.2といった戦力差でしょうね」
 マティカが冷静に状況分析する。
「いえ!それでも、この世界が滅びようとしているのに何もしないわけにはいきません!」
 カスクが声を張り上げる。
「・・・勇気あるセリフだけど、現実に勝てる見込みは少ないわ。せめてシステラム姉様かイーザがいれば何とかなりそうだけど・・」
「そのイーザと言うのはどなたですか?」
「原初の仲間の一人よ。残念だけど、彼は今居場所が分からないの。探しても連れてくる前にこの世界はエラートに飲み込まれてるでしょうね」
「なら、そのシステラムとかいうあんたの姉を探せばいいじゃないか。この世界に来てたんなら、そっちの方が望みがありそうじゃないかい?」
 レイミールが提案すると、
「そうですね、少なくともこのまま戦闘になっても玉砕するだけです。対等以上になるためにシステラムさんを探しましょう」
「そうなると手がかりになるのは、カスクさんとクリシアさんという事になりますね。ラーリス様」
 ケストエルがラーリスに言う。
「あなたは?」
 マティカがケストエルに尋ねる。
「はい、私は天使ケストエルと言います。時間操作しか取り柄がない者ですが」
「時間・・・!それよっ!」
「え?」
 マティカに指さされ戸惑うケストエル。
「さっきの話で20年前にカスク達に力を与えたのが姉様なら、その時にそこにいたってことじゃない。ケストエルの力を使えばその時の事が分かるわ!」
「それはですね、さすがに20年も前のことになると、私の力では城そのものをそこまで戻す事が出来ないんです」
「出力不足ってことね」
「そうです」
「じゃあ問題ないわ。戻るのは私とケストエルだけだから」
「だけって・・!時間移動するつもりですか!」
「そうよ、実際に見てきた方がてっとり早いもの」
「駄目です!時間移動は禁じられています!パラドックスが起こったらどうするんですか!」
 ケストエルが非難すると、
「大丈夫。その城での生き残りはカスクとクリシアの二人だけなんだから。赤ちゃんに見られたって問題ないわ。覚えはないはずだもの」
「・・・ラーリス様。よろしいんですか?」
「ええ、ケストエル。現状を変えるにはシステラムさんを見つける必要があります。状況からしてパラドックスが起こる確率は低いでしょう。お願いできますね」
「はい。・・わかりました」
パンパン
 マティカが手を叩く。
「よし、話は、まとまったわね。まずはフォーマル城に向かいましょう」


 フォーマル城に向かう途中の蛍光城の中。