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神王ラーリスと魔王クラーゼスのRP

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 何もない所から声がする。
バキッ
 空間が砕け、そこから足が飛び出ていた。
「よっと」
 掛け声とともに男がその穴から飛び出てくる。
 男は右半分が黒、左半分が虹色の服という奇妙な格好をしていた。
 その短い黒髪の男は空中に立つと、目つきの悪い両目で辺りを見渡す。
「ん?あいつ、何やってんだ?」
 大陸の一部を見てそう言うと、男は一歩踏み出す。
 すると、男の周りの景色が変わる。
 黒色の世界だった。
 正確には黒い文字の様なものが、周りを埋め尽くしている。
 視界はほとんど零。
「こいつは・・相変わらずだな」
 男は背中に付けているカッターを取り出すと、その黒を切り裂く。
 あっさりと黒は切り裂かれ、視界が開ける。
 先には、男がうずくまっていた。
 赤い髪、赤眼をした男は振り返る。
「・・・誰・・・だ・・」
「おいおい、俺を忘れちまったのか?」
パチン
 目つきの悪い男は指を鳴らすと、赤眼をした男ははっと気付く。
「ヴァイオ・・」
「おいおい、俺をその名前で呼ぶなよ、ミスターフェアプレイって呼んでくれ」
「ヴァイオ・・」
「ったく、まあ、お前に名前をどうこう言ってもしゃあねえけどよ、それより、こんな所で何してんだ?」
「・・・・・知らん」
「・・まー、お前と会話できるのはあいつしかいないけどよ、記憶がねえわけじゃないだろ?」
「・・・そう、我は――を振り撒くもの・・」
ヴァイオは頭をぼりぼりと掻きながらどうしたもんかと考えていた。


「・・・変ですね」
 クリシアを調べていたラーリスは首を傾げ言う。
「変って・・何がですか?」
「あなたの記憶を見させてもらったんですけど、力を授かった部分が無いんです」
「無いって・・フォーマル城で記憶と力を掛けてもらってから転送されたんじゃないんですか?」
「はい、前にも言いましたが、あの力は相当高度なものです。とてもあの短時間では不可能です。記憶を与えるだけでも必死でしたから」
「・・・・」
「ただ、可能性の一つとして、次元移動を行った際に付加されたものがありますね」
「移動中ですか?」
「ええ、人間には一瞬で知覚できませんが、ああいう空間は時間と距離の概念が変わりますから、恐らくその時でしょう。それ以外は普通と変わりませんでしたから」
「そうですか・・いったい誰が・・」
「誰ではなく、空間がそのように作用した事も考えられます」
「はっきり・・しないんですね・・神様の力でも・・」
「ええ。そこが最初に言った『変』の所です。私の力でも分からない状態・・」
 部屋には沈黙が木霊していた。

 5日後、カスク達は戦場に着いていた。
 レイズウェルの街は、ディスビーズと同様に城塞となっており守りが堅い。
「あれは、何だ?」
 カスクが戦闘が行われている所を見て言う。
「ゴーレム。魔法で作られた土人形ですね」
 ラーリスが説明する。
「かなりの数だな。人間にしては良くやっている」
 クラーゼスが称賛する。
 ゴーレムは街の周囲を取り囲み、黒雲の軍勢を押し留めていた。
 たまにゴーレムが攻撃により砕けるが、すぐに再生している。
 ゴーレムの方も黒雲を破壊することはできなくても、20メートルはある巨体で黒雲を吹っ飛ばしていた。
 戦いは膠着状態になっていた。どちらも相手を破壊できないでいる。
「私達も加勢しましょう」
「ああ」
 ラーリスの言葉にカスク達4人はゴーレムの前に降り立つ。
「クラーゼス?」
 ラーリスが横目で見ると、クラーゼス達が自分達とは街の反対側に降りて行った。
「フン、少々ゴーレムの使い方と言うのを教えてやろうと思ってな」
 クラーゼスはそう言って地面に降りると、唱え始める。
「黒石魔王操像(ラストーンオギュア)!」
ズズズズズズズ・・・
 クラーゼスが唱えると、その前方に山が盛り上がってくる。
 そして、それは500メートルはある黒い石像へと変化した。
 クラーゼスが手を下から上に振り上げると、黒い石像も同じ動きをする。
ドドンッ
 地震が起こると、視界にある全ての地面が宙に浮く。
 黒雲とゴーレムの軍団も一緒に巻き込む。
「潰れろ!」
 クラーゼスが手を力いっぱい握ると、浮かんだ大地全てが収束する!
ガガガガガガガガ・・
 黒い石像の上空で直径2キロの球体と化す。
「クリエンテ」
「重力魔結界」
 クリエンテが球体に向けて唱えると、黒い魔法陣が球体を覆っていく。
「アクビア」
「仰せの・・ままにっ」
ドンッ
 アクビアは声と共に球体に直進していく。
「魔っじーん・・」
 アクビアが球体に直撃する寸前、拳を振りかぶる。
ギュラララララララッ
 アクビアの右腕に無数の魔法陣が回転する。
「轟拳!」
ドッ・・・
 アクビアの拳がヒットすると、球体に亀裂が走る。
 そしてそのまま光を撒き散らし、縮小していった。
 光が収まってくる。
 カスクが目を開けると、街の周りが10メートル程の崖となっていた。


 クラーゼスの生み出した黒い石像はそのまま地面に戻って行った。
「クラーゼス!」
 ラーリスがクラーゼスに走ってきながら声を張り上げる。
「あなたは、限度というものがないんですか!」
 ラーリスがクラーゼスに詰め寄る。
 クラーゼスは平然と、
「我がいちいちあのような集団を相手にする訳がなかろう。手間を省いてやったというものだ」
「このあたり一帯が荒野になってしまったではありませんか!」
「フン、どちらにしろ黒雲がいるのではそんなもの関係なかろう」
 2者の言い合いが続く。
「あんた達かい?表の黒雲共をやっつけたのは」
 2者が振り返ると、魔法使いがいた。
 歳は25歳位。黒の三角帽子に黒マント。胸を強調した青のローブを着ていた。
「ええ、全部吹っ飛ばしたのは、このクラーゼスさんですけどね」
 ラーリスがクラーゼスを指さして言う。
「へえ・・あたしがゴーレム呼び出して何とか膠着状態にしてたんだけど・・あれを全部やってしまう奴がいたなんてねえ」
 魔法使いはクラーゼスをしげしげと見る。
「え?・・ひょっとしてあなたがレイミールさんですか?」
 カスクが尋ねると魔法使いが答える。
「おや、あたしの事を知ってるのかい?」
「ええ、ディスビーズのクリズ・スレインって人からあなたを訪ねるようにと」
「クリズ坊や?じゃあディスビーズの街は大丈夫だったんだね」
「はい、そうです。それで・・」
 カスクが続けようとすると、レイミールが手で制し、
「立ち話もなんだから、どこか入って話そうじゃないかい」
 

 カスク達が事情を話し終えた所、
「そうかい、異世界から来て、この世界の黒雲を退治しにねえ・・・」
 さすがにラーリスとクラーゼスの事は腕の立つ冒険者ということで済ませた。
「とりあえず、先程渡した結界装置があれば黒雲の脅威に怯えることはありません」
「そうかい、まあ、数が多くて面倒くさかっただけなんだけど、ギルの孫が作ったものなら大丈夫だろうね」
「?ギルさんですか?」
「ああ、クリズ坊やの祖父の事だよ。ギルはあたしのパートナーだった人でね」
「そうですか、それで、これからの事なんですけど。クリエンテさん。お願いできます?」