覚めない夢
彼女いわく私は「がんばれがんばれ、今は苦しくても生きていればきっと何とかなる」などといった根拠のない励ましをしないから、この仕事にはおあつらえ向きである、とのことだった。だが、私にはとてもそんな風には思えなかった。
むしろ、まともに答えることすら面倒臭がって適当なことを言ってしまいそうだと思った。
しかし、反論すると彼女の太鼓判がヒートアップしそうだったので、断るのも面倒くさいと感じた私は、素直に押し切られてやることにしたのだった。
もともと惰性で呼吸をして、したいこともなくただ適当にそこに在るだけの人間だ。
頭を悩ませるのも面倒だったので、そんな疑問やわずかな抵抗感もすぐに意識の外へと流れて消えていった。